Geminiとの会話を管理者が書き出せる|先に社員へ伝える
GmailやドキュメントでGeminiに頼んだ会話を、管理者がGoogle Vaultで検索して書き出せるようになりました。対象はBusiness Plus以上のプランです。
社員から見ると、画面は何も変わりません。お知らせも出ません。だからこそ、会話が「会社の記録」として扱われうることを、先に伝えておく必要があります。
書き出しは監視のための道具ではありません。誰が、どんなときに使うかを1行で決めて、社員に伝える。やることはそれだけです。
メールの返信案をGeminiに作ってもらう。ドキュメントの要約を頼む。会議のあとにMeetでまとめを聞く。Google Workspaceを使っている会社では、こうした頼みごとが毎日の仕事に混ざり始めています。
その会話を、会社の管理者があとから検索して書き出せるようになりました。Googleは10月22日(米国時間)、記録の保管と検索のための管理ツール「Google Vault」で、Geminiとの会話を書き出せるようにしたと発表しました。
今日やること Google WorkspaceのBusiness Plus以上を使っている会社は、「GmailやドキュメントでのGeminiとの会話は、会社の記録として管理者が書き出せる」と社員に一言伝えてください。あわせて、書き出すのは誰で、どんなときかを1行で決めておきます。 何もしなくていい人 Business StarterやBusiness Standardを使っている会社、Google Workspaceを使っていない会社です。今回の機能はVaultが入っているプランだけが対象です。
何が起きたか
GoogleのGoogle Workspace Updatesによると、変わったのは次の点です。
- Vaultの書き出しの対象に、Gmail・ドライブ・ドキュメント・スプレッドシート・スライド・MeetでのGeminiとの会話が加わった
- 利用者や部署(組織部門)と期間で絞り込んで、まとめて書き出せる
- 書き出されるのは、利用者が打った指示、Geminiの回答、作られた画像などの添付、参照したファイルやメールへのリンク、引用元
- 対象は、会話の履歴がオンになっているときの会話
- 管理者は、利用者が会話を手で消せないようにする、一定期間使われなければ自動で消す、といった設定ができる
- 利用者の側には設定が無い
- 対象はBusiness Plus、Enterpriseの各版などで、すでに使える状態
中小企業にとって何が変わるか
社員の画面は何も変わらない
この変更で、社員の画面には何も出ません。お知らせも、確認の表示もありません。管理者だけが使える機能だからです。
ここが今回いちばん気をつけたいところです。社員の多くは、Geminiとの会話を「自分とAIだけのやりとり」だと思って使っています。下書きの段階の言い回しや、取引先への不満、まだ決まっていない人事の相談まで、気軽に打ち込んでいるかもしれません。
その会話が、あとから管理者に書き出されうる。これ自体は、メールやチャットと同じ扱いになっただけです。会社のアカウントで送ったメールが会社の記録であるのと同じで、会社のアカウントでAIに頼んだことも会社の記録になる。筋は通っています。
問題は、それを社員が知らないまま書き出しが行われることです。あとで知った社員は「見られていた」と感じます。中身に問題が無くても、信頼のほうが傷みます。
書き出しは、もめごとのときの道具
Googleはこの機能を、法律上や規制上の求めに応えるためのものと位置づけています。取引先とのトラブルで経緯を確かめる。退職した人の仕事の中身をたどる。そういう「何かあったとき」のための道具です。
日々の仕事ぶりを見張るために使うものではありません。小さな会社ほど、管理者と社員の距離が近くなります。「社長がいつでも全員のAIとの会話を読める」状態は、使い方を決めておかないと、それだけで重く受け取られます。
当てはまるかどうかを分ける
| 自社の状況 | 今回の件でやること |
|---|---|
| Google Workspaceを使っていない | 何もしなくてよい |
| Business StarterかBusiness Standardを使っている | Vaultが無いので、今回の機能は使えない。何もしなくてよい |
| Business Plus以上だが、社員がGeminiを使っていない | 使い始める前に、会話が会社の記録になることを伝えておく |
| Business Plus以上で、社員がGeminiを使っている | 社員に一言伝える。書き出すのは誰で、どんなときかを1行で決める |
| 管理者が会話を消せない設定にしたい | 決める前に社員へ伝える。設定を変えてから伝えると順番が逆になる |
よくある誤解:「消せば消える」
自分でAIとの会話の履歴を消しておけば大丈夫、と思っている人もいるはずです。
今回の発表では、管理者が「利用者が会話を手で消せないようにする」設定を使えることも案内されています。会社がその設定にしていれば、社員が消したつもりでも、会話は残ります。逆に、一定期間で自動的に消える設定もできます。
つまり、会話がどれだけ残るかを決めるのは、社員ではなく会社の設定です。だから、会社の側が何を選んだかを、社員に知らせる必要があります。
いま何をすべきか
- 自社のプランを確かめる。管理コンソールで、Business Plus以上かどうかを見ます。StarterかStandardなら、今回の件は関係ありません
- 社員に一言伝える。「GmailやドキュメントでのGeminiとの会話は、メールと同じく会社の記録として扱われます」。これだけで十分です
- 書き出す人と場面を1行で決める。例えば「書き出すのは代表だけ。取引先とのトラブルや法的な求めがあったときに限る」。紙1枚どころか、1行で足ります
- 会話を残す設定を変えるなら、変える前に伝える。消せない設定にするのも、自動で消す設定にするのも、先に社員へ伝えてからにします
AIとの会話が増えるほど、そこに仕事の中身が残るようになります。残ることそのものは悪くありません。困るのは、残ることを誰も知らないことです。
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