Gemini Windows版登場|先に決めるのはアカウント
Windows版のGeminiアプリは、社員が自分でダウンロードして、自分のGoogleアカウントで入れば動きます。会社が何も決めていなくても、入ります。
ヘルプの条件は「個人のGoogleアカウント、または管理者がGeminiをオンにした仕事用アカウント」です。会社側がオンにしていなければ、社員は個人アカウントで入るしかありません。
同じアカウントなら、チャットの履歴とメモリーは全端末で同期されます。今日決めるのは機能ではなく、会社のPCに入れるなら、どちらのアカウントで入るかです。
ブラウザのタブを開いて、貼り付けて、戻る。この往復が消えました。Windowsの作業中にAlt+Spaceを押すと、いま開いている画面の上にGeminiが出てきます。
機能としては地味です。ただ、中小企業にとっての変化は、会社のPCに「常駐」するAIを、社員が自分で入れられるようになったという点にあります。入れる前に決めておくことが1つだけあります。
何が起きたか
Googleが9月10日、Windows 10と11向けのGeminiアプリを全世界で公開しました。Alt+Spaceのショートカットで作業中の画面の上に開き、下書き・要約・調べものをして元の作業に戻れます。GmailやGoogleドライブの情報を引いて要約する、複数ステップの作業を「Gemini Spark」に任せる、画像や動画を作る、といった機能も入ります。一部の機能はGoogle AIの有料サブスクリプションが必要で、18歳以上が対象です(Google「The Gemini app is now available for Windows」)。
macOS版は4月に先に出ていて、そちらには画面の内容を共有して質問する機能、音声入力、Sparkをローカルフォルダにつないでファイルを整理する機能があります。これらはWindows版にも順次提供すると書かれています(Google「デスクトップ用 Gemini」)。
中小企業にとって何が変わるか
新しい義務は増えていません。ブラウザでGeminiやChatGPTを使い、会社の資料を貼っていない会社は、何もしなくて構いません。
変わるのは「使うまでの距離」です。これまでAIは、ブラウザの中の1つのタブでした。常駐すると、Excelでも会計ソフトでもメールでも、どの画面の上からでも呼び出せます。距離が縮まると、使う人と使う回数は増える方向に動きます。それ自体は良いことです。
分かれ目は機能ではなく、入るときのアカウントです
Googleのヘルプに、このアプリを使うのに必要なものが書いてあります。「個人のGoogleアカウント、または管理者がGeminiへのアクセスをオンにした仕事用・学校用のGoogleアカウント」です。あとはWindows 10以降のPCと、8GB以上のメモリ、200MBの空き容量です(Google「Use the Gemini app for Windows」)。
この1行を、中小企業の側から読み直します。
Google Workspaceを契約している会社で、管理者がGeminiをオンにしていない場合、社員は仕事用のアカウントでは入れません。それでも個人のGoogleアカウントなら入れます。インストーラーを落として、自分のGmailのアカウントでログインすれば動きます。会社が何も決めていなくても、社員のPCにGeminiが常駐する状態は、今日から作れます。
そして同じ製品ページに、同じGoogleアカウントでログインしている限り、チャット履歴とメモリーは全デバイスで同期されると書かれています。会社のPCで見積書の下書きを貼った履歴は、その社員のスマホと自宅のPCのGeminiにも出ます。社員が辞めたあとも、その履歴は個人のアカウントに残り、会社からは消せません。
会社の仕事が、社員個人のアカウントに載っている。常駐アプリは、その構図を作りやすくします。
うちは当てはまるのか
| いまの状態 | 今日の見立て |
|---|---|
| Google Workspaceを使っていて、管理者がGeminiをオンにしている | 社員は仕事用アカウントで入れます。「仕事用で入る」と1行伝えるだけで足ります |
| Google Workspaceを使っているが、Geminiはオフのまま | ここが本体です。このままだと社員は個人アカウントで入ります。オンにするか、アプリを入れないかを決めてください |
| Google Workspaceを使っていない(Microsoft 365など) | 仕事用のGoogleアカウントが無いので、入れるなら必ず個人アカウントになります。入れてよいかを先に決めてください |
| 社員のPCにアプリを自由に入れさせていない | 今日は何もしなくて構いません。ただしブラウザ版は同じアカウントの問題を持っています |
| すでにブラウザで個人アカウントのGeminiを業務に使っている | 常駐で新しく起きる問題ではありません。今回を機に、どのアカウントで使うかを決めてください |
よくある誤解:Windows版はまだ画面を見ないから安全
「画面の共有もローカルフォルダの接続もmacOS版だけで、Windows版にはまだ無い」という見方があります。今日の時点では、その通りです。
ただし製品ページには、これらの機能をWindowsにも順次提供すると書かれています。機能が来てから決めると、すでに個人アカウントで入っているPCが社内に何台かある状態で決めることになります。アカウントの問題は、機能が増える前のいまのほうが、決めるのも直すのも軽く済みます。
「個人で使うな」と言うだけでは止まりません
社内ルールに「AIは個人アカウントで使わない」と書くのは指示の層です。ただし、仕事用では入れず個人なら入れる、という状態が変わっていなければ、指示は破られます。悪意ではなく、それしか道が無いからです。
止める層は、仕事用アカウントで入れる状態を会社が先に作ることです。Workspaceを使っているなら、管理者がGeminiをオンにする。使っていないなら、入れてよいAIと、入れてよいアカウントを決めて、その形で使える環境を渡す。指示と仕組みは別々に持ちます。
いま何をすべきか/何もしなくていいか
該当する会社だけ、順に見てください。決めることは1つです。
- 社内のPCに、すでにGeminiアプリが入っていないかを聞く。Windowsのシステムトレイにアイコンが出るので、本人が見れば分かります。入っていれば、どのアカウントで入ったかも聞きます
- 会社としてどのアカウントで使うかを決める。Workspaceがあるなら仕事用アカウントに寄せ、管理者側でGeminiをオンにします。無いなら、個人アカウントでの業務利用を認めるのか、認めないのかを決めます
- 決めた内容を1行で全員に渡す。たとえば「Geminiのアプリを入れる場合は、会社のアカウントでログインする。個人のアカウントで会社の資料を貼らない」
- 個人アカウントで会社の資料を貼っていた社員がいたら、そのPCのアプリからログアウトして、仕事用で入り直してもらう。過去の履歴を消せるのは本人だけなので、消してもらうかどうかも決めます
やらなくていいことも書いておきます。アプリの利用を禁止する必要はありません。呼び出しの距離が縮まること自体は、使う人を増やす方向に働きます。Geminiを選ぶか、別のAIを選ぶかを、今日決める必要もありません。アカウントの問題は、どの会社のAIでも同じ形で起きます。決めるのは、どのAIかではなく、どのアカウントで入るかです。
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