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2026-09-10導入と定着

生成AIが社内に浸透しない|研修より先に決めること

生成AIが社内に浸透しない|研修より先に決めること
この記事の結論

浸透していないのは、使う人がいないからではありません。1人の作業として終わっていて、会社の仕事の形になっていないからです。

数えるものを「使った人数」から「業務の数」に変えてください。1つの業務が、担当が誰であっても同じ手順で終わる状態を、1つずつ増やします。

研修はその後です。先に決めるのは、複数人が同じことをやっている業務を1つと、全員が使う定型文と、出てきたものの確認者です。

社内で生成AIを使っているのは、社長と、若手が1人。会議では「便利だ」という話が出るのに、他の席では誰も開いていない。

そろそろ研修を入れるべきかと思い、見積もりを取り始めた。この記事は、その手前で止まってもらうために書いています。

扱うのは「1人か2人は使えている状態から、どう広げるか」だけです。そもそもどこで止まっているのかを特定したい場合はAI導入がうまくいかない原因に分けました。

「誰も使っていない」のではなく、1人の中で止まっている

使う人がいないのではありません。使われてはいるが、それが個人の作業から出ていないだけです。

総務省が2026年7月に公表した令和8年版 情報通信白書を見ます。日本・米国・ドイツ・中国の企業に聞いた調査で、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた割合は、日本で86.4%でした。

ところが、生成AIによる業務変革などについて「組織的な取り組みはない」と答えた割合が27.0%あります。そしてこの数字は、会社の規模で大きく割れます。

「組織的な取り組みはない」と答えた割合。中小企業では大企業の約2.5倍にのぼる(総務省 令和8年版 情報通信白書)。
「組織的な取り組みはない」と答えた割合。中小企業では大企業の約2.5倍にのぼる(総務省 令和8年版 情報通信白書)。
組織的な取り組みはない
大企業18.1%
中小企業45.6%

中小企業では半分近くが、組織的な取り組みが無い状態です。同じ白書は、この割合が米国・ドイツ・中国に比べて日本で顕著に高いことにも触れています。

つまり、多くの会社で起きているのは「導入していない」ではありません。誰かが自分の作業を速くしていて、そこで完結しているという状態です。

本人は困っていません。困っていないので、改善の要求も上がってきません。周りから見ると「あの人だけが使っている」ように見え、それが「浸透していない」という言葉になります。

「全員が使えるようになる」を目標にすると、永久に届かない

浸透を人数で数えるのをやめてください。数えるのは業務の数です。

人数を目標に置くと、3つの理由で必ず戻ります。

  1. 人数は減るものだから。 研修の直後は全員が触りますが、翌月には元の担当者だけに戻ります
  2. 人数では判定できないから。 月に1回開いた人も、毎日使っている人も、同じ1人です
  3. 使う理由のない人にまで使わせることになるから。 現場に不信感だけが残ります

代わりに置く数え方はこれです。

その業務が、担当が誰であっても同じ手順で終わるようになったか。

なったら1つ。ならなければ0。これだけです。1業務ずつ増やしていきます。

浸透は人数ではなく業務の数で数える。人数を目標にすると判定できず、終わりも来ない。
浸透は人数ではなく業務の数で数える。人数を目標にすると判定できず、終わりも来ない。
人数で数える業務の数で数える
目標全員が使えるようになる見積書の文面が誰でも同じ手順で書ける
判定できないできる
次の一手研修をもう一度やる次の1業務を選ぶ
終わり来ない1つずつ確実に増える

「AIを導入した」という言葉が何も意味しないのと同じで、何人がアカウントを持ったかも何も意味しません。意味を持つのは、どの業務が誰の手でも回るようになったか、それだけです。

研修より先に決める3つ

研修は操作を教えますが、どの業務に当てるかは教えてくれません。決まっていない状態で研修をやると、その場で全員が一度触って、翌日には元に戻ります。

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した中小企業のAI等の利活用に係る実態調査を見ます。令和7年11月17日から12月12日にかけて、全国の中小企業10,000社へWebアンケートで実施したものです。

必要な公的支援として「従業員向けの教育・研修」を挙げた企業は67.7%で、「導入費用などの助成」(77.9%)、「導入事例などの情報提供」(70.5%)に次ぐ3番目でした。研修に手が伸びるのは自然な流れです。

ただ、同じ調査の別の設問がこうなっています。

必要性が理解されていないわけではありません。足りないのは「うちのどの業務に、どう当てるのか」という具体の像のほうです。研修が埋めてくれるのは操作の側で、こちらの側ではありません。

だから先に、次の3つを決めます。

1. 複数人が同じことをやっている業務を1つ選ぶ

選定の基本条件は業務改善は何から始めるかに書いたとおりですが、浸透を狙うときは条件を1つ足します。その業務を、3人以上が同じようにやっていること。

1人しかやらない業務は、うまくいっても広がりません。広げたいなら、最初から複数人の手が入っている業務を選びます。先ほどの白書でも、日本の企業で活用が最も多い業務類型は「議事録・メール作成補助」で、約7割でした。特別な工夫ではなく、誰の席にもある仕事だからそうなっています。

2. 全員が使う文を1つ決めて、固定する

ここが一番飛ばされます。

各自に「うまく指示を出してください」と任せた時点で、それは個人技のままです。業務ごとに、貼りつけて使う文を1つ作ってください。社内の誰が使っても同じ文を使う。書き方を毎回考えさせない。

うまくいかないときは、人を指導するのではなく、その文を直します。直した文は全員に配り直します。こうすると、改善が1人の中に溜まらず、会社に溜まります。

3. 出てきたものを、誰が確認して、どこに置くか

出力の確認者を決めていないと、各自が自分の画面で使って、自分のPCに置いて終わります。それは結局、人数分の個人利用に戻っただけです。

確認者は役職で決めなくて構いません。その業務にいちばん詳しい人で十分です。置き場所は、いま使っているフォルダやチャットの中に1つ決めてください。新しい置き場所を作ると、そこを見に行く習慣がないので埋もれます。入れてよい情報の線引きは生成AIの社内ルールは3つで足りるを使ってください。

研修は最後。対象業務・共通の文・確認者と置き場所が決まっていないと、研修は便利さの紹介で終わる。
研修は最後。対象業務・共通の文・確認者と置き場所が決まっていないと、研修は便利さの紹介で終わる。

この3つが決まっていれば、研修は意味を持ちます。「その業務を、その文で、その置き場所に」を全員で1回やるだけで終わるからです。決まっていない研修は、便利さの紹介で終わります。

自社のどの業務から広げるか、選ぶところだけでもご相談ください 現状を伺うところから始めます。相談と見積りに費用はいただきません。

なお、広げた先で使われなくなる構造そのものについてはSaaSが使われない3つの理由に書いています。前のやり方と二重運用になる話も、そちらです。

大企業と同じ「推進体制」は作らなくていい

推進部署も専任担当も置けないことは、不利ではありません。

先ほどの白書は、中小企業でのAI活用ではトップダウンの関与がポイントになると述べています。ここを「社長が号令をかける」と読むと、たいてい失敗します。号令は業務を1つも指定しないからです。

人手の足りない会社でのトップダウンは、体制を作ることではありません。社長が業務を1つ名指しすることです。「見積書の文面から始める。他はまだやらない」。この1行のほうが、推進委員会より速く効きます。

決める人が1人しかいないというのは、決めるのが速いということでもあります。大きい会社のやり方を縮小して持ち込むより、そこを使ってください。

今日からやること

上から順に。40分ほどで終わります。

#やること目安
1いま使えている1人に「何に使っているか」を聞く10分
2そのうち、3人以上が同じようにやっている業務を1つ選ぶ5分
3その1人が実際に打っている文を、そのまま書き写す10分
4書き写した文を短く整えて、社内の定型文として1つに決める10分
5出てきたものの確認者を1人決める3分
6置き場所を、いまあるフォルダかチャットの中に1つ決める2分
7研修の見積もりは、1〜6が終わるまで保留にする0分

3番を飛ばさないでください。 すでにうまくいっている文が社内にあるのに、外から持ってきた例文で始める会社が多いところです。

よくある質問

研修は無駄ということですか。

無駄ではありません。順番の問題です。対象の業務と使う文が決まっていれば、研修は「その場で1回やってみる」時間になり、翌日から同じことができます。決まっていない研修は、便利さの紹介で終わります。先に3つを決めてから発注してください。

社長が「全員使うように」と号令をかければ広がりますか。

広がりません。号令は、どの業務をどう変えるかを1つも指定していないからです。同じ社長の一言なら、業務を名指しするほうが効きます。「まず見積書の文面だけ」と言い切ったほうが、全員という言葉より具体的に動きます。

使う文を固定すると、かえって使いにくくなりませんか。

最初は窮屈に感じます。それでも固定を勧めるのは、うまくいかなかったときに直す対象がはっきりするからです。各自が自由に書いていると、結果が悪くても原因が人に見えてしまい、指導の話になります。文を直せば済む問題を、人の問題にしないための固定です。慣れてきたら業務ごとに増やして構いません。

一度広げたのに、また使われなくなりました。

前のやり方が生きたまま残っていることが多いです。二重運用になると、人は慣れているほうを使います。原因と対処はSaaSが使われない3つの理由に書きました。そのうえで、業務を1つに絞り直してやり直せば十分です。全部やり直す必要はありません。

まとめ

生成AIが社内に浸透しないのは、社員のやる気でも研修の不足でもなく、たいてい数え方と順番の問題です。

この記事のタグ生成AI定着AI導入

どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に内容を確認しています。