無料の画像AIが「研究用のみ」に|商用可は版ごとに確かめる
Alibabaの画像生成AI「Qwen-Image-2.1」が2026年9月20日に公開されました。前の版はApache 2.0という商用利用もできるライセンスでしたが、今回の版は「Qwen Research License」という独自ライセンスで、非商用の目的に限られ、商用で使うには別途ライセンスを取る必要があります。
有料のChatGPTやGeminiで画像を作っている会社には関係ありません。関係するのは、無料で公開されているAIを自分のPCやサーバーに入れて、チラシや商品画像など仕事の成果物を作っている会社です。
会社がやることは1つです。使っているAIの「名前・版・ライセンス」を1行控えること。今の版のライセンスが変わることはなく、新しい版に上げるときだけ確かめれば済みます。
「無料で使える画像AIを社員のPCに入れて、チラシの背景や商品写真の差し替えに使っている」。そういう会社は少数ですが、あります。ChatGPTに月額を払うより安く、枚数の上限もないからです。その無料の画像AIで、きのう起きたことです。同じ名前のAIの新しい版が、「研究用のみ」のライセンスで出ました。前の版は商用で使ってよいライセンスでした。名前が同じでも、版が変わると条件が変わる。この記事はその1点だけを扱います。
今日やること ChatGPTやGeminiなど、有料サービスの画面で画像を作っている会社は、何もしなくて構いません。 無料公開のAIを自分のPCやサーバーに入れて、仕事の成果物を作っている会社は、そのAIの「名前・版・ライセンス」を1行控えてください。新しい版に上げるときは、上げる前にライセンスを見る。それだけです。
何が起きたか
Alibabaの開発チームが、画像生成AI「Qwen-Image-2.1」を2026年9月20日に公開しました(GitHub:QwenLM/Qwen-Image-2.1、Hugging Face:Qwen/Qwen-Image-2.1)。文字入りの画像が得意で、参考画像を最大10枚渡して編集できる、と説明されています。同じ日に、ComfyUIなど個人のPCで動かす定番ツールへの対応も出ています。
変わったのはライセンスです。
- 今回の版は「Qwen Research License Agreement」という独自ライセンスです。条文には、モデルを使えるのは「非商用の目的に限る(FOR NON-COMMERCIAL PURPOSES ONLY)」とあり、商用で使うには別途ライセンスを取る必要があると書かれています(Qwen-Image-2.1のLICENSE)
- 前の版にあたる初代の「Qwen-Image」(2025年8月公開)は、Apache 2.0でした(Hugging Face:Qwen/Qwen-Image)。Apache 2.0は、商用利用を含めて広く使ってよい、よく知られたライセンスです
- 公開ページの議論欄には、前の版がApache 2.0だったことを指摘する声と、この条件では仕事に使えないという声が並んでいます(Hugging Face:Qwen-Image-2.1の議論)。開発チームからの回答は、この記事を書いた時点では載っていません
つまり、名前は同じ「Qwen-Image」の系統で、前の版は商用可、新しい版は非商用のみです。
中小企業にとって何が変わるか
「無料で入れられる」と「会社で使ってよい」は別の話
ChatGPTやGeminiのような有料サービスは、使ってよい範囲が利用規約に書いてあり、契約している間は変わりません。変わるときは通知が来ます。
無料で公開されているAIは違います。ファイルを落として自分のPCに入れた時点で、サービスとの契約はありません。あるのは、そのファイルに付いていたライセンスだけです。ライセンスは版ごとに付きます。前の版が商用可だったからといって、次の版も同じとは限りません。今回はまさにその形で、しかも版の番号が「2.1」と小さく上がっただけなので、上げた人は条件を見ていないことが多いはずです。
もう1つ。社員が個人のPCに「便利だから」と入れて会社のチラシに使っている場合、会社はそのAIの存在を知りません。知らないものの条件は、確かめようがありません。
うちは当てはまるのか
| いまの状態 | 今回の変更で | 今日やること |
|---|---|---|
| 画像は作っていない | 何も起きない | 何もしなくていい |
| ChatGPT・Gemini・Canvaなど有料サービスの画面で作っている | 関係ない。使ってよい範囲はサービスの規約どおり | 何もしなくていい |
| 制作会社やデザイナーに外注している | 直接は関係ない | 納品物に無料AIを使っているかは、先方の話。契約で「商用利用に問題のない素材で納品」を確かめておけば足りる |
| 無料公開のAIを社内のPCやサーバーに入れて、仕事の成果物を作っている | 版を上げると条件が変わる可能性がある | 名前・版・ライセンスを1行控える。版を上げる前にライセンスを見る |
| 上の状態で、誰が何を入れたか会社が把握していない | 確かめようがない | 使っている社員に聞いて、同じ1行を控える |
4行目と5行目だけが、この記事の対象です。ただ、4行目は「ChatGPTの月額を払いたくない」という理由で、人手も予算も足りない会社ほど選びやすい道です。だから書いています。
よくある誤解:「オープンソースだから会社で使っていい」
無料で公開されているAIは、まとめて「オープンソース」と呼ばれがちです。ですが、「誰でも落とせる」と「何に使ってもよい」は別で、それを決めるのがライセンスです。Apache 2.0のように商用可のものもあれば、今回のように研究や個人の試用に限るものもあります。Hugging Faceの公開ページには、ライセンスの種類が必ず書いてあります。名前だけで「前も使えたから」と判断するのが、いちばん起きやすい間違いです。
いま入れている版のライセンスが、後から変わることはありません。初代のQwen-Imageを使っている会社が急に違反になるわけではない。慌てて消す必要はなく、上げるときに見ればよい話です。
減らすのは、確かめる回数
ここからは私たちの見方です。人手の足りない会社にとって大事なのは、確かめる回数を減らすことです。有料サービスは、月額と引き換えに「条件は契約の間は変わらない」を買っています。無料のAIは、その分を自分で確かめる形になる。どちらが良いという話ではなく、無料を選ぶなら「版を上げるときに1回見る」手間が付いてくることを、選んだ時点で分かっておくのが筋です。
その手間は「名前・版・ライセンス」の1行で済みます。大きい会社なら情報システム部門が台帳を持ちますが、20人の会社にその部門はありません。1行でよいから共有フォルダに書いておく。次の版が出たときに「うちは上げていいか」をすぐ答えられます。
いま何をすべきか/何もしなくていいか
| いまの状態 | やること |
|---|---|
| 有料サービスで作っている、または画像を作っていない | 何もしなくていい |
| 無料公開のAIを入れて仕事に使っている | 使っている「名前・版・ライセンス」を1行、共有フォルダに控える。今の版はそのまま使ってよい |
| Qwen-Imageの系統を使っていて、新しい版に上げたい | 上げる前にライセンスを読む。会社の仕事に使うなら、今回の版は別途ライセンスが要る。それが面倒なら、上げない |
| 社員が何を入れているか分からない | 「仕事の成果物に使っている無料AIはあるか」を1回聞く。あれば同じ1行を控える |
急ぐ話ではありません。今の版はそのまま使えます。決めるのは、上げるときに誰がライセンスを見るかの1つだけです。
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