業務改善は何から始めるか|最初に選ぶ3つの条件
「毎日発生していて、判断が要らなくて、転記が絡んでいる」業務から選んでください。
一番困っているところは、たいてい一番ややこしいところでもあります。
そこから始めると、結果が出る前に日常業務に押し戻されます。
業務改善の相談を受けた時、いちばん時間をかけて聞くのが「どこから手をつけるか」です。
やるべきことは、たいてい山ほどあります。ただ、人手も時間も足りない会社が、いきなり大きいところに手を出すと、まず失敗します。
順番の話をします。
大きい課題から手をつけない
一番困っているところは、たいてい一番ややこしいところでもあります。
「一番困っているところから直したい」と考えるのは自然です。ただ、そこは大抵こうなっています。
- 関係者が多い
- 例外が多い
- 長年の経緯があって、誰も全体を把握していない
そこに最初に手を出すと、調整に時間がかかり、結果が出るまでが長くなります。そして人手の足りない会社では、結果が出る前に日常業務に押し戻されます。
改善が続かない理由の大半は、意志の問題ではありません。最初の一手の選び方です。
3つ重なっているものを探す
毎日発生していて、判断が要らなくて、転記が絡んでいる。この3つが重なる業務が、最初の一手です。
条件1:毎日発生している
週1回より、毎日。効果が出た時に、すぐ実感できるからです。
月末にしか発生しない作業を改善しても、次に効果を感じるのは1か月後です。それでは勢いが続きません。
改善は、最初の3週間で「効いている」と感じられるかどうかが分かれ目になります。
条件2:誰がやっても同じ結果になる
判断が要らない作業です。
判断が入るものは、まず判断基準を言葉にする作業から始まります。それは大事な仕事ですが、最初の一手には重すぎます。
言語化に2週間かかっている間に、現場の熱が冷めます。
条件3:転記が絡んでいる
同じ内容を、2か所以上に入力している。
これはほぼ確実に減らせます。しかも、やっている本人が一番「無駄だ」と思っている作業なので、改善した時に喜ばれます。協力も得られます。
この3つが重なる場所は、だいたい決まっています
業種が違っても、詰まっている場所はよく似ています。
具体的には、こういうところです。
- 電話で聞いた内容を、あとからシステムに入力している
- 受注の情報を、受注管理と請求で二度入れている
- 応募や問い合わせの内容を、一覧表に書き写している
- 日報の内容を、月次の集計に手で足している
- 名刺やメールの情報を、顧客リストに転記している
どれも派手ではありません。経営課題として語られることもありません。
ただ、毎日30分取られている作業が消えると、月に10時間が戻ってきます。
人手の足りない会社にとって、月10時間は小さくない話です。しかも、これは「増員なしで」戻ってくる時間です。
最初の1つで、信用をつくる
最初の改善がうまくいくと、2つ目以降が通りやすくなります。
現場は、新しいことを警戒しています
過去に何かを入れられて、面倒が増えた経験があるからです。
その状態でいきなり大きな変更を持ち込んでも、協力は得られません。表面上は従っても、心のなかでは「また元に戻るだろう」と思っています。
順番を逆にする
小さくても、確実に楽になるものを1つ渡す。
そこで「この人がやることは、自分たちが楽になる方向だ」と伝わります。ここから先は、話が早くなります。
現場の方から「あれもどうにかならないか」と出てくるようになります。 そうなれば、改善は自走し始めます。
逆に、後回しでいいもの
効果が大きいものと、最初にやるべきものは違います。
| 理由 | |
|---|---|
| 全体を作り直すような話 | 効果は大きいが時間もかかる。小さい成功を積んでからで間に合う |
| 年に数回しか発生しない業務 | 手作業のままでも、実は損失が小さいことがある |
| すでに誰も困っていない業務 | 「非効率だから」だけを理由に手をつけると、誰にも感謝されない |
3つ目は特に注意が必要です。効率化のための効率化は、現場から反発だけを買います。
今日からやること
紙とペンで済みます。
- 今週やった作業を、思いつくまま20個書き出す(部署ごとでも、自分の分だけでも構いません)
- 各項目に印を付ける — 毎日やるか/判断が要らないか/転記が絡むか
- 3つとも印が付いたものを探す
- その中で、一番件数が多いものを1つ選ぶ
それが最初の一手です。 会議で議論するより、この作業を15分やる方が早く決まります。
よくある質問
一番困っている業務を後回しにして、本当にいいのですか
後回しではなく順番の問題です。大きい課題は逃げません。小さい成功を2つ3つ積んでから戻ってくれば、その時には現場が味方になっています。 最初に手を出して失敗すると、2回目の提案が通らなくなる方が損失は大きいです。
条件が3つとも重なる業務が見つかりません
2つでも構いません。優先順位は「毎日発生している」が最も高いです。効果を実感できる速さが、そのまま継続率になります。逆に「転記が絡む」だけがあって毎日発生しないなら、優先度は下がります。
現場に聞くと「困っていない」と言われます
困っていないのではなく、慣れてしまって無駄だと感じなくなっていることがよくあります。「困っていますか」ではなく「この作業、1日何分かかっていますか」と聞いてください。数字にすると見え方が変わります。
小さい改善ばかりで、本当に効果が出ますか
毎日30分の作業が1つ消えれば月10時間です。これを3つやれば月30時間になります。そして本当の効果は、時間より「変えられる」と分かることの方です。ここが変わると、現場から改善案が出てくるようになります。
改善したのに元のやり方に戻ってしまいます
選定ではなく定着の問題です。原因はたいてい3つに絞れます。詳しくは「SaaSが使われない3つの理由」をご覧ください。
まとめ
最初の一手は、毎日発生していて、判断が要らなくて、転記が絡んでいるものから選ぶ。
地味な選択です。ただ、続く改善の入口としては、これが一番確率が高いと思っています。
大きい課題は、逃げません。小さい成功を積んでから戻ってくれば、その時には現場が味方になっています。
どこにそれがあるかを一緒に探すところから、お引き受けしています。 まずは、いまのやり方を聞かせてください。
どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。
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