SheetsのAI関数に出典|確かめるのは出典の無いセル
Googleスプレッドシートの「AI関数」で、ウェブから調べて埋めた値に、セルごとの出典が付くようになりました。1回の依頼で埋められるセルも最大3,000まで増えます。
取引先リストの業種や所在地を、AIに一気に埋めさせる作業が現実的になります。ただし、出典が付いたことと、値が正しいことは別の話です。
決めるのは確かめる順番です。出典の無いセル、公式でない出典のセル、社外に出す列。この順に見ます。
営業先のリストが200社分ある。社名はあるけれど、業種と所在地とホームページの欄が空いている。これを1社ずつ検索して埋めると、半日つぶれます。GoogleスプレッドシートのAI関数を使えば、この空欄を一気に埋められます。今回の更新で、埋めた値の「どこから取ったか」がセルごとに見られるようになりました。
便利になったのは確かです。ただ、出典が見えるようになると「出典が付いているから大丈夫」と思いがちです。そこで1つ、順番を決めておきます。
今日やること AI関数で埋めた表を使う前に、確かめる順番を決めて、使う人に伝えてください。①出典の無いセル ②出典が会社の公式サイトや公的な情報でないセル ③社外に出す列。この3つだけ見れば足ります。 何もしなくていい会社 Google Workspaceの契約がBusiness Starterの会社です。今回の対象プランの一覧に入っていません。スプレッドシートでAI関数を使っていない会社も、いま急いですることはありません。
何が起きたか
Google Workspaceの公式ブログ「Fill with Gemini now provides cell-level citations for web sources and supports larger requests」(10月30日の週のまとめに掲載)で、次のことが案内されました。
- AI関数でセルの値を作ると、参照したウェブの出典が、そのセルごとに付く。ウェブ版のスプレッドシートで見られます
- 1回の依頼で、最大3,000セルまで処理できる
- Gemini in Sheetsが使える利用者には、最初から有効
- 展開は10月20日から段階的に始まっている(画面に出るまで最大15日)
- 対象はBusiness Standard・Plus、Enterprise Standard・Plus、個人向けのGoogle AI Pro・Ultraなど
使い方は、ヘルプ「Google スプレッドシートで AI 関数を使用する」にあります。セルに「=AI()」か「=Gemini()」を入れて指示を書き、「生成して挿入」を押します。出典を見るときは、そのセルを選び、内容にカーソルを合わせて「ソース」を押します。
中小企業にとって何が変わるか
「調べて埋める」仕事が、表のままで終わる
これまで、AIに調べものを頼むと、答えはチャットの画面に返ってきました。それを表に写す手間が残り、写すときに行がずれる事故も起きます。AI関数なら、答えが最初から表のセルに入ります。取引先の業種、仕入れ先の所在地、競合店の定休日。1行ずつ同じことを調べる仕事は、中小企業にいくらでもあります。
1回で埋められる量も増えました。数百社のリストなら、何度かに分けずに済みます。
確かめる手がかりが、セルの中に来た
今回の本題はこちらです。AIが埋めた値が怪しいとき、これまでは自分で検索し直すしかありませんでした。今はセルを押せば、AIがどのページを見たかが分かります。確かめる手間が、検索からリンクを開くだけに縮みます。
AIに知識を聞くと、分からないときもそれらしい答えを作ります。出典が付けば、少なくとも「どこにそう書いてあったか」は追えます。
「埋めた人」が記録に残る
AI関数のヘルプには、生成した内容を挿入すると、押した人がそのセルの編集者として変更履歴に残る、と書かれています。AIが書いた値でも、表の上では押した人が入力したのと同じ扱いです。後で間違いが見つかったとき、「AIが入れました」は通りません。
自社は当てはまるか
| 自社の状況 | やること |
|---|---|
| Google WorkspaceのBusiness Starter | 対象外。何もしなくてよい |
| Business Standard以上だが、AI関数を誰も使っていない | 急がなくてよい。使い始める人が出たら、確かめる順番を一緒に渡す |
| AI関数でリストを埋めている人がいる | 確かめる順番(下の3つ)を伝える |
| 埋めた表を見積もりや案内状など、社外に出している | 社外に出す列だけは、出典を開いて確かめる人を決める |
| Microsoft 365やほかの表計算を使っている | 今回の更新は関係しない |
よくある誤解:「出典が付いたから、正しい」
出典は「AIがそこを見た」という印です。その値が今も正しいことまでは保証しません。見たページが古い紹介記事なら、移転前の住所が入ります。まとめサイトなら、社名の似た別の会社の情報かもしれません。出典が付いたことで、間違いはかえって正しそうな顔をします。
確かめる順番はこうです。
- 出典の無いセル。AIがウェブで見つけられず、別の材料から作った可能性があります
- 出典が、相手の公式サイトや公的な情報でないセル。古い記事やまとめサイトが混ざっていないかを見ます
- 社外に出す列。ここは全部、出典を開いて確かめます
社内で傾向をつかむだけの表なら、1と2で十分です。全部のセルを人が確かめるなら、AIで埋めた意味が薄れます。
いま何をすべきか
- 自社のプランを確かめる。Business Starterなら、今回の話は当面関係ありません
- AI関数を使っている人がいるか、1度だけ聞く。多くの会社では、まだ1人か2人です
- 確かめる順番の3つを、その人に伝える。社内チャットに1行で足ります
- 社外に出す表の確認役を決める。埋めた人と確かめる人を分けなくても構いません。見る列を絞っておくことが大事です
AI関数を入れたこと自体には意味がありません。意味があるのは、1社ずつ検索していた時間が減ったかどうかです。減った時間の一部を、出典を開く時間に回す。それでも手作業よりずっと早く終わります。
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