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2026-08-26導入と定着

AI導入の進め方|中小企業が最初の90日でやること

AI導入の進め方|中小企業が最初の90日でやること
この記事の結論

最初の90日を「決める30日・通す30日・見極める30日」に区切ってください。

同時に複数を触らず、1業務だけを最後まで通します。

やめる基準を先に決めておくと、判断が感情論になりません。

「うちもAIを使ったほうがいいのは分かっている」。この状態のまま半年が過ぎている会社は珍しくありません。

ツールの記事は読んだ。無料版も触ってみた。でも自社のどの業務に当てるのかが決まらないまま、日常業務に戻っていく。決裁も予算も自分で出せるのに、最初の一手だけが決まらない。

これは判断力の問題ではありません。判断するための材料が、世の中に出回っていないだけです。

AIを入れている会社は2割。ただし中身は大きく偏っている

導入率の数字だけを見ると出遅れているように見えますが、部門別に見ると景色が変わります。

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した実態調査(全国の中小企業10,000社に配布・有効回答1,668社)では、AIの導入率は 20.4% でした。内訳は「全社的に導入している」が3.6%、「一部の業務で導入している」が16.8%です。これに「導入予定・検討中」の18.6%を足すと、前向きな企業は全体の39.0%になります。

注目したいのは、どの部門で使われているかのほうです。

業務部門AI導入率
総務・管理68.3%
営業・販売・サービス60.3%
経営・企画58.5%
製造・生産34.9%

一番進んでいるのは総務・管理、つまりバックオフィスです。製造・生産は半分程度にとどまります。

導入済み企業が使っているAIの種類も、生成AIが82.6%と突出しています。次点の音声認識・音声対話AIが29.8%ですから、実質的に「生成AIを事務仕事に使っている」というのが、いまの中小企業のAI活用の姿です。

AIが実際に使われているのはバックオフィス。総務・管理が68.3%に対し、製造・生産は34.9%にとどまる。
AIが実際に使われているのはバックオフィス。総務・管理が68.3%に対し、製造・生産は34.9%にとどまる。

この事実は、最初の一手を決めるうえで役に立ちます。現場の工程を変えにいく必要はありません。すでに結果が出ている場所、つまり書類・文章・転記のあたりから入ればいい。業務改善は何から始めるかで書いた「毎日発生していて、判断が要らなくて、転記が絡んでいる」業務の選び方と、調査結果は同じ方向を指しています。

つまずいているのは技術ではなく、情報

同じ調査に、もっと重要な数字があります。

AI・IT導入にあたって不足している情報を聞いた項目で、「成功事例や活用事例などの情報」が足りないと答えた企業は83.3%。「適切なベンダーや製品を選定する情報」の不足が79.8%で続きます。

公的支援へのニーズでも、「導入費用などの助成」77.9%に次いで「導入事例などの情報提供」が70.5%を占めています。お金の次に足りていないのが、情報です。

つまり多くの会社が止まっているのは「AIが難しいから」ではありません。自社のどこに当てれば効くのかが分からないからです。

ここに一般解が効かない理由もあります。同じ「見積作成に時間がかかる」でも、原因が転記なのか、確認待ちなのか、そもそも過去案件を探せないのかで、打つ手はまるで変わります。他社の成功事例を読んでも自社に移せないのは、当たり前のことです。

だから90日は、答えを探す期間ではなく、自社の答えを1つ作る期間として使います。

最初の90日を3つに区切る

30日ずつ、目的の違う3つの期間に分けます。同時に複数の業務を触らないことが、この設計の核心です。

90日を3つに割る。決める30日、通す30日、見極める30日。同時に複数の業務を触らない。
90日を3つに割る。決める30日、通す30日、見極める30日。同時に複数の業務を触らない。

1〜30日:減らす対象を1つだけ決める

この期間に成果物はいりません。決めることだけが仕事です。

やることは2つです。1つ目は、日常業務のうち「毎日か毎週必ず発生していて、判断がほとんど要らず、どこかからどこかへ書き写している」作業を洗い出すこと。2つ目は、その中から1つだけを選ぶこと。

選ぶときの条件は、「一番困っている業務」ではありません。一番困っている業務は、たいてい一番ややこしい業務でもあります。例外処理が多く、関係者が多く、責任が重い。そこから始めると、結果が出る前に日常業務に押し戻されます。

選ぶべきは、軽くて、毎日あって、誰がやっても同じ結果になるものです。

最初の1つは、一番困っている業務ではなく、軽くて毎日あって誰がやっても同じ業務から選ぶ。
最初の1つは、一番困っている業務ではなく、軽くて毎日あって誰がやっても同じ業務から選ぶ。

そして、何をやめるのかを1行で書いておきます。「AIで見積作成を効率化する」ではなく「見積書に案件情報を手で打ち直す作業をなくす」。この1行が無いと、あとで効果を判定できません。SaaSが使われない3つの理由で書いたとおり、なくすものを決めずに入れたツールは使われません。

31〜60日:1業務だけ、最後まで通す

部分的に試すのではなく、実際の仕事として1周させます。

ここで大事なのは範囲を広げないことです。うまくいき始めると「隣の業務にも」と手が伸びますが、まだ広げません。1業務が最後まで回るかを見ます。

やってみると、たいてい途中で引っかかります。入力の形式が揃っていない、担当者によってやり方が違う、AIの出力を誰が確認するのか決まっていない。この引っかかりが、この30日でいちばん価値のある発見です。AIを入れたから出てきたのではなく、もともとあった問題が見えただけ、ということも多い。

何を任せて何を任せないかの線引きに迷ったら、AIに任せていい仕事の見分け方の基準を使ってください。判断基準を言葉にできるか、間違えても取り返しがつくか、間違いに誰かが気づけるか。この3つです。


進め方の設計から一緒に考えたい場合は、ご相談くださいいまのやり方を伺うところから始めます。相談と見積りに費用はいただきません。


61〜90日:残すか、捨てるかを決める

続ける前提で始めないでください。捨てる判断をする期間を最初から確保します。

判定するのは「AIが賢かったか」ではありません。何が減ったかです。

3つ目が特に効きます。無くなって困らないなら、それは定着していません。

効果が出ていれば、同じ型を隣の業務へ広げます。出ていなければ、業務の選び方が悪かったのか、やり方が悪かったのかを切り分けて、1〜30日に戻ります。ここで「AIは使えない」と結論づけるのは早すぎます。1業務で判定できるのは、その1業務のことだけです。

この90日でやらないほうがいいこと

先に挙げておきます。どれも、途中で必ず誘惑として出てきます。

最後の項目については、生成AIの社内ルールで詳しく書いています。

今日からやること

90日の最初の1日にやることは、これだけです。

#やること目安
1毎日・毎週必ず発生している作業を書き出す30分
2そのうち「判断が要らない」「転記が絡む」ものに印を付ける10分
3印の中から、いちばん軽いものを1つ選ぶ5分
4「この作業をなくす」と1行で書く5分
590日後の判定日をカレンダーに入れる1分

5番を先に入れてください。判定日が無いと、続けるか捨てるかの判断が、そのときの気分で決まります。

よくある質問

予算はどれくらい見ておくべきですか

先ほどの調査で最も多かった公的支援ニーズは「導入費用などの助成」(77.9%)でした。費用への不安は共通しています。ただし最初の90日に限れば、生成AIの月額利用料だけで足りる範囲から始められます。この段階で大きな投資判断をする必要はありませんし、するべきでもありません。投資の判断は、1業務で効果が出たあとの話です。

社内にAIに詳しい人がいません

必要ありません。むしろ、使う人が意識しないまま業務が軽くなっているのが良い状態です。詳しい人を育ててから始めようとすると、その育成が終わらないまま1年が過ぎます。最初の90日で必要なのは、AIの知識ではなく「どの作業をなくしたいか」を言葉にできることだけです。

他社の成功事例を教えてもらえますか

調査で83.3%の企業が「事例情報が足りない」と答えているとおり、事例は誰もが欲しがっています。ただ、事例は移植できません。同じ業種・同じ規模でも、業務の詰まっている場所が違えば打つ手が変わります。事例は「そこにAIを使えるのか」を知るためには役立ちますが、「うちはどうすべきか」の答えにはなりません。自社の90日を1本通すほうが、他社の事例10本より判断材料になります。

90日で結果が出なかったらどうしますか

それも結果です。どの業務に効かなかったかが分かったこと自体に価値があります。大事なのは、判定日に必ず判定することです。「もう少し様子を見る」を繰り返すと、効果の無い仕組みが業務に残り続けます。これはAIに限った話ではありません。

まとめ

最初の90日は、AIに詳しくなる期間ではありません。自社の答えを1つ作る期間です。

調査が示しているのは、AIがすでにバックオフィスで実際に使われていること、そして多くの会社が止まっている理由が技術ではなく情報だということでした。情報が足りないなら、自社で1本つくるのが一番早いという話です。

出典中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)(調査期間:令和7年11月17日〜12月12日/全国の中小企業10,000社に配布・有効回答1,668社)

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に代表が内容を確認しています。