AIで自社専用システムを作る新サービス|先に書くのは今の手順
楽楽精算などで知られるラクスが、AIを使って会社ごとの専用の業務システムを作るサービスを、2027年4月から売り出すと発表しました。
構築費は60万円から、月額は5万円からと案内されていますが、検討中の価格です。
いま申し込めるものではありません。小さな会社が先にやっておくと得なのは、困っている業務の今の手順を、人に説明できる形に書き出しておくことです。
経費精算の「楽楽精算」などを出しているラクスが、AIを使って会社ごとの専用の業務システムを作るサービスを発表しました。売り出すのは2027年4月からです。
既製品のクラウドサービスを入れてみたものの、自社のやり方に合わずに使われなくなった。そういう経験のある会社には、気になる話だと思います。ただ、いま申し込めるものではありません。今日の時点で考えておくと得なことを書きます。
今日やること 特にありません。気になる方は、いちばん困っている業務を1つ選び、今の手順を上から順に書き出しておいてください。この種のサービスに頼むときも、頼まないときも、その紙がそのまま役に立ちます。 何もしなくていい人 今の仕組み(Excelや既製品のサービス)で業務が回っていて、困っていることが特にない会社です。
何が起きたか
ラクスが2026年10月14日に、新しいサービス「ASURACORE(アスラコア)」を発表しました(ラクス:プレスリリース)。リリースに書かれている主な内容は次のとおりです。
- 会社ごとの業務の困りごとを解決する、自社専用のシステムを作るサービス
- ラクスの担当者(ディレクター)が困りごとを聞き取り、担当者とAIが、整理から設計、組み立て、確認と調整までを行って納品する
- 頼む側の会社が、自分でシステムを設定したり組み立てたりする必要はない
- 構築費は60万円から、月額の利用料は5万円から。ただし現時点で検討中の価格で、変わる可能性がある
- 最短1か月で作る
- 2027年4月から販売する
中小企業にとって何が変わるか
「専用のシステム」が、手の届く値段の話になってきた
これまで、自社のやり方に合わせたシステムを作ろうとすると、開発会社に頼んで何か月もかけるのが普通でした。小さな会社には、値段の面でも、打ち合わせにかける時間の面でも重い選択肢です。
そのため多くの会社は、既製品のサービスに自社のやり方を合わせるか、Excelで何とか回すかのどちらかを選んできました。今回の発表は、その間にもう1つの選択肢が出てきた、という話です。ラクスに限らず、AIを使って作る手間を減らし、専用のシステムを安く早く作るサービスは、これから増えていくと考えています。
同じ悩みでも、会社ごとにやり方は違います。受注の流れも、見積の作り方も、承認の順番も、よその会社と同じとは限りません。既製品に合わせきれなかった会社にとっては、検討する価値のある選択肢です。
うちは当てはまるか
| いまの状況 | 当てはまるか | 考えること |
|---|---|---|
| Excelや既製品のサービスで回っていて、困っていない | 当てはまらない | 何もしなくていい |
| 既製品を入れたが、業務に合わず使われていない | 当てはまる | 合わなかった理由が「機能が足りない」なのか「使い方が決まっていない」なのかを先に分ける |
| 自社の業務の流れが、同業の他社とかなり違う | 当てはまる | 違う部分がどこかを書き出しておく |
| 何に困っているのか、まだ言葉になっていない | まだ早い | 先に、困っている業務を1つに絞る |
| 作った後に直したくなったとき、相談できる相手がいない | 少し当てはまる | 作った後の修正をどこまで月額でやってもらえるかを、検討するときに必ず聞く |
よくある誤解:「要件定義が要らないなら、こちらは何も準備しなくていい」
ラクスのリリースには、頼む側がシステムを設定したり組み立てたりする必要はない、と書かれています。これは、画面の設定や作り込みを自分たちでやらなくていい、という意味です。
ただ、担当者が聞き取りに来たとき、「いま誰が、何を見て、どの順番で、何を決めているか」に答えるのは、頼む側の会社です。ここがあいまいなまま作ると、どれだけ早く作れても、出来上がったものは今の業務とずれます。そして、ずれていると分かるのは、使い始めてからです。
AIが作る手間を減らしても、自社の業務を説明する手間は残ります。むしろ作るのが早くなるほど、説明があいまいなまま進んでしまう心配は大きくなります。
検討するときに聞いておきたいこと
リリースには、作ったシステムに入れたデータの扱いや、やめるときの扱いは書かれていません。発売が近づいて検討する段階になったら、次の3つは聞いておくと安心です。
- 月額の利用料に、作った後の修正がどこまで含まれるか
- 利用をやめるとき、入れたデータをどんな形で持ち出せるか
- 専用のシステムの中身を、ほかの会社でも直せるか
専用のものは、その会社にしか無いぶん、作った相手との関係が切れたときの困りごとも専用になります。Excelのマクロで「作った人しか分からない」が起きるのと同じ構造です。
いま何をすべきか
発売は2027年4月なので、今日何かを決める必要はありません。そのうえで、半年のあいだにやっておくと得なことが1つあります。
いちばん困っている業務を1つ選び、今の手順を上から順に書き出しておくことです。誰がやっているか、何を見て判断しているか、どこで止まりやすいかを、1業務につき1枚に収めます。
この紙は、専用のシステムを頼むときの聞き取りの答えになります。頼まないと決めたときも、既製品を選び直すときの比べる物差しになります。手順を書き出してみたら、システムを作らなくても、手順を1つ減らせば済むと分かることも少なくありません。
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