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2026-09-14導入と定着

Excel管理から脱却する前に|やめない判断もある

Excel管理から脱却する前に|やめない判断もある
この記事の結論

「Excelをやめたい」の中身は4つに分かれます。同時に開けない・最新版が分からない・作った人しか触れない・転記が多い。このうちExcelを替えないと解決しないのは、最後の1つだけです。

使う人が2人以下、月に数回しか触らない、表の形がまだ毎月変わる。この条件に当てはまるExcelは、やめない方が安く済みます。

移すなら1ファイルずつ。最初の一歩は「Excelのまま置き場所を変える」で、それでも残った困りごとだけをツールに移します。

顧客台帳、受注表、シフト表。会社の大事な情報は、ほとんどExcelに入っています。誰かが開いていると「読み取り専用」になる。「最新」「最新2」「本当の最新」と同じ名前のファイルが3つある。マクロを組んだ人はもう辞めていて、誰も触れない。

「Excel管理からの脱却」と検索して出てくるのは、ほぼ全部ツールの会社が書いた「脱却しましょう」の記事です。この記事は逆から書きます。やめなくていいExcelはどれか。移すなら、何から、どの順番か。

「Excelをやめたい」の中身は4つに分かれる

困りごとを分けると、Excelそのものが原因のものは意外と少ないと分かります。

困りごと本当の原因Excelを替えると直るか
同時に開けない・読み取り専用になるファイルの置き場所(自分のPC・共有フォルダ)替えなくても直る
どれが最新版か分からない保存のルールがない替えても直らない
作った人しか触れない(関数・マクロ)属人化。仕組みではなく人の問題替えても再発する
別の表や紙からの転記が多い入力の入口がバラバラここだけ、替える意味がある
困りごとの中身は4つ。Excelを替えないと直らないのは「転記が多い」だけ。
困りごとの中身は4つ。Excelを替えないと直らないのは「転記が多い」だけ。

1つ目の「同時に開けない」は、多くの人が「Excelだから仕方ない」と思っています。これはもう古い前提です。Microsoftの公式ヘルプによると、Microsoft 365版のExcelでは、ファイルをOneDriveかSharePointに置けば、複数人が同時に同じブックを編集する「共同編集」が使えます。条件は、形式が.xlsx・.xlsm・.xlsbで、参加者全員がMicrosoft 365のExcelを使っていることです(Excel ブックの共同編集を使用して同時に共同作業する)。

昔の「ブックの共有」機能の、表もグラフも作れなくなる印象が残っている人もいるはずです。Microsoft自身がこの機能を「古い共有方法」と書き、共同編集への切り替えを勧めています(共有ブック機能について)。「同時に開けない」は、Excelをやめる理由ではなく、置き場所を変える理由です。

2つ目の「最新版が分からない」は、ツールを替えても直りません。移した先で「ツールの中の一覧」と「誰かが手元に落としたExcel」の二重管理が始まります。原因はファイル形式ではなく、「正本はここ、手元の複製は捨てる」というルールが無いことです。

3つ目の「作った人しか触れない」も同じです。ツールに移しても、「そのツールの設定をした人しか触れない」に形を変えるだけです。属人化はExcelの問題ではなく、業務の中身を1人の頭の中に置いたままにした問題です。

4つ目の「転記が多い」だけが、Excelを替える価値のある困りごとです。紙の注文書をExcelに打ち、それを見ながら請求ソフトに打ち直す。この構造は入力の入口を1つにしない限り消えず、それはExcelの得意な仕事ではありません。

やめない方がいいExcelの条件

使う人が少なく、触る頻度が低く、表の形がまだ固まっていないなら、Excelのままの方が安く済みます。

脱却を勧める記事が書かないのは、移すコストの方です。データを移す手間、新しい画面に慣れる時間、「前のExcelでできた並べ替えができない」という不満に答え続ける時間。人手の足りない会社では、この時間の方がツールの月額より高くつきます。次のどれかに当てはまるExcelは、やめないことをお勧めします。

最後の条件を補足します。SaaSが使われない3つの理由で書いたとおり、ツールが使われなくなる最大の原因は「入力する人と得をする人が違う」構造です。担当者が自分で育てたExcelは、入力する人と得をする人が同じです。それを「会社として管理したいから」という理由で、担当者にとって何も楽にならないツールに移すと、入力の質が落ちます。いちばん動いている仕組みを、管理する側の都合で壊すことになります。

移すコストは月額だけではない。人手の足りない会社では、慣れる時間と不満に答える時間の方が高くつく。
移すコストは月額だけではない。人手の足りない会社では、慣れる時間と不満に答える時間の方が高くつく。

大きい会社は「全社で統一する」で押し切れます。情報システム部門があり、移行の期間も人も確保できるからです。人手の足りない会社に同じやり方は持ち込めません。1つのExcelを移す間、その業務は誰かが片手で回すことになります。だから、移す価値のあるExcelだけを選んで1つずつやります。

移すと決めたら、Excelのまま置き場所を変えるところから

いちばん地味で、いちばん失敗しない最初の一歩は「ツールを入れる」ではなく「ファイルをクラウドに置く」です。

移すと決めたExcelには3つの段階があります。飛ばさず、上から順に試します。

段階やること消える困りごと
1. 置き場所を変えるOneDriveかSharePointに置き、共同編集をオンにする。共有フォルダの複製は消す同時に開けない・最新版が分からない
2. 入口だけ変える入力をフォーム(Microsoft FormsやGoogleフォーム)にして、結果を表に流し込む。表はExcelのまま手入力のミス・入力する人の負担
3. 台帳をツールに移す段階2まで済ませても転記が残る表だけ、台帳ツールに移す表と表の間の転記

段階1は、普通のやり方です。総務省の令和7年通信利用動向調査(常用雇用者100人以上の企業が対象、有効回答2,489社)では、クラウドサービスを一部でも利用している企業は83.5%で、利用しているサービスの内容は「ファイル保管・データ共有」が73.3%と最も高くなっています。業務システムより先に、まずファイルの置き場所。100人以上の会社でも、それが最も多い使い方です。中小企業を対象にした調査ではありませんが、この順番は人手が少ない会社ほど効きます。

段階2は見落とされがちです。困りごとが「入力」にあるなら、表を替える必要はありません。現場の人がスマホのフォームから入力し、結果が自動でExcelに溜まる。関数やマクロは溜まった表の上でそのまま動きます。

移すなら、置き場所→入口→台帳ツールの順。多くの表は2段目までで足りる。
移すなら、置き場所→入口→台帳ツールの順。多くの表は2段目までで足りる。

段階3まで進むExcelは多くありません。ここで初めて台帳ツールや専用ソフトの話になります。選ぶ順番は、業務改善は何から始めるか|最初に選ぶ3つの条件で書いた「毎日発生・判断が要らない・転記が絡む」の3つが重なる表からです。毎日触る表なら、効果が翌日に分かります。

移した後、元のExcelは読み取り専用にして3か月残します。「やっぱりあの列が要る」が必ず出るからです。移した後で困りごとが増えたなら、ツールが定着しない|直すか捨てるかの決め方の基準で戻す判断もしてください。戻すのは失敗ではなく、段階1で止まった方がよかったExcelだったと分かっただけです。

どのExcelが段階1で済み、どれが段階3まで要るのか。表の一覧を見せていただければ、その仕分けだけでもご相談ください相談と見積りに費用はいただきません。

「脱却した」は何も意味しない。減った転記だけが意味を持つ

Excelをやめたかどうかではなく、探す時間と打ち直す回数が減ったかどうかで判断します。

ツールに移した会社でよく起きるのは、ツールの中の一覧を月末に結局Excelへ書き出して集計している、現場が以前のExcelの複製を手元に残している、という状態です。「導入した」という事実は残り、減ったものが無い。見るべきものは3つだけです。

この3つが減っていれば、Excelのままでも移した後でも正解です。ツールに移したのに減っていなければ、それは脱却ではなく引っ越しです。

もう1つ。生成AIに表を読ませて集計や下書きをさせる場面が増えていますが、AIにとってExcelは扱いにくい形式ではありません。1シートに1つの表、1行目が見出し、セルの結合なし、と整っていればそのまま渡せます。脱却しなくても、整えるだけでAIの入口には立てます。

今日からやること

順番やること目安
12人以上が週1回以上触るExcelを書き出す30分
2困りごとを4つ(同時・最新版・属人・転記)のどれかに分類する30分
3「同時」「最新版」だけの表は、OneDriveかSharePointに置いて共同編集をオンにする1表あたり半日
4「転記」の表のうち毎日触るものを1つ選び、フォーム入力に置き換えられないか試す1週間
51か月後、探す時間・打ち直す回数・待つ時間が減ったかを担当者に聞く15分

4番の表だけが、台帳ツールの検討に進む候補です。

よくある質問

Excelからの脱却は、何に移行するのが正解ですか。

決まった正解はありません。困りごとが「同時に開けない」「最新版が分からない」なら、移行先はツールではなくOneDriveやSharePointです。「転記が多い」なら、まず入力をフォームにして、残る転記だけを台帳ツールに移します。

Excelのマクロが属人化しています。マクロから脱却すべきですか。

マクロを消すより先に、そのマクロが「何を、何のためにやっているか」を日本語で書き出してください。書き出せれば、Excelのままでもツールに移してもAIに任せてもできます。書き出せないまま移すと、今度はそのツールの設定が属人化します。

現場が「Excelの方がいい」と言って新しいツールを使いません。

現場が正しい場合が多いです。移す理由が「会社として管理したいから」だけなら、使われなくなります。移すなら、担当者の困りごとが1つ減る形にしてください。減らないなら、そのExcelは移さなくていいものです。

まとめ

困りごとの中身を4つに分けると、Excelを替えないと解決しないのは「転記」だけです。「同時に開けない」「最新版が分からない」は置き場所とルールの問題、「作った人しか触れない」はツールを替えても再発する問題です。

使う人が2人以下、月に数回しか触らない、表の形がまだ変わる。そのExcelはやめない方が安く済みます。移すと決めた表は1つずつ。まずExcelのまま置き場所をクラウドに変え、次に入力の入口だけをフォームにし、それでも転記が残る表だけを台帳ツールに移します。見るのは「脱却したか」ではなく、探す時間・打ち直す回数・待つ時間が減ったか。それだけです。

この記事のタグ業務改善SaaS定着

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に内容を確認しています。