ChatGPT Pro新規停止|仕事は誰の契約に載っているか
月200ドルのChatGPT Proを誰も使っていない会社は、何もしなくて構いません。Plus・Business・APIは今までどおり申し込めます。
止まったのは「使えること」ではなく「買えること」です。いったん外して必要になったら戻る、という契約の扱い方が、この枠については使えなくなりました。
会社の仕事に使っているAIが、誰の名義で、誰の支払いで、どのプランかを1行ずつ書き出してください。個人の契約に会社の仕事が載っていると、その人の判断1つで止まります。
有料のサービスは、お金を払えば使えるものだと思っています。値上げはあっても、買えなくなることは想定していません。社内で使うツールを選ぶときも、「必要になったら申し込めばいい」を前提に決めています。
9月10日にOpenAIがやったのは、その前提を一時的に外すことでした。値上げではありません。性能の変更でもありません。いちばん高いプランを、新しく買えなくしたのです。
何が起きたか
OpenAIは9月10日付で、ChatGPTの月200ドルのプラン「Pro $200(Pro 20x)」について、新規の申込と他プランからの切り替えを一時停止しました。無料・Go・Plus・Pro $100のどこからも、このプランには上がれません。既存のPro $200の契約はそのまま更新され、月100ドルのPro $100は新規も既存も影響を受けません。停止がいつまで続くかは書かれていません(OpenAI Help Center「About ChatGPT Pro tiers」)。
理由について、OpenAIの製品責任者はXで、9月3日に出た新モデル「GPT-6 Astra」への需要が想定を超え、Proプランが最も負荷をかけるためだと説明しています(TechCrunch)。AstraそのものについてはGPT-6 Astra登場|PC操作を任せる前にで書きました。
中小企業にとって何が変わるか
ほとんどの会社にとって、今日は何も変わりません。月200ドルのプランは、1人で使う個人向けの最上位です。従業員が20人の会社で、これを契約している人はいないか、いても1人です。Plus・Business・Enterprise・APIは今までどおり申し込めます。
ここで読むのをやめても困りません。そのうえで、この出来事が見せたものが1つあります。
止まったのは「使えること」ではなく「買えること」です
いま使っている人は使えます。困るのは、これから使いたい人と、いったん外れた人です。
OpenAIの案内には、外れた場合の扱いが細かく書かれています。解約や下位プランへの変更を予約すると、いまの請求期間の終わりまではPro $200のままで、その間なら取り消せます。期間が終わって外れると、停止が解けるまで買い直せません。更新の支払いが失敗して解約扱いになった場合も同じです。返金で契約が終わった場合は、その場で無料プランに落ち、やはり買い直せません。キャンペーンを適用した結果Pro $200から外れる場合も、戻れません。
つまり、「いったん外して、必要になったら戻る」という扱い方が、この枠については使えなくなりました。月額のサービスは、いつでも入り直せるから気軽に外せる。その前提が、この1か月だけはPro $200について成り立ちません。
よくある誤解:使っている人がいれば、会社で使えている
社内に「ChatGPTをよく使う人」が1人います。その人が有料プランを自分のカードで払っていて、会社が経費で戻しているか、あるいは自腹です。周りはその人に頼んで、文章を整えてもらったり、資料の下書きを作ってもらったりしています。
この形は珍しくありません。ただ、この形で会社の仕事が回っているとき、契約の名義はその人で、会社ではありません。その人が解約すれば止まります。カードの期限が切れて更新に失敗しても止まります。今回のように、外れたら戻れない期間なら、戻せません。
「会社で使えている」と「会社の誰かが使えている」は、違います。後者は、その人の判断1つで終わる状態です。以前AI導入がうまくいかない原因|個人任せで止まっているで書いた「まだ会社の仕事になっていない」というのは、この構図のことです。
OpenAIの案内で1つだけ安心できる点があります。個人のPro契約とBusinessのワークスペースは独立していると書かれています(OpenAI Help Center「About ChatGPT Pro tiers」)。会社がBusinessを契約しても、個人のPro $200を解約する必要はありません。両方持てます。つまり、会社の契約を足すことで、個人の契約を壊さずに済みます。
うちは当てはまるのか
| いまの状況 | 今日の見立て |
|---|---|
| 無料プランか、誰も使っていない | 何もしなくて構いません |
| 会社でBusinessやEnterpriseを契約している | 影響はありません。申込も継続もこれまでどおりです |
| 社員が個人でPlusを使っている | 影響はありません。ただ、下の「契約の書き出し」だけはやってください |
| 社員が個人でPro $100を使っている | Pro $200には上がれません。それ以外は変わりません |
| 社員が個人でPro $200を使っている | 請求まわりを触らないでください。外れると戻れません |
| APIで自社の仕組みに組み込んでいる | 影響はありません。従量課金は今までどおりです |
いま何をすべきか/何もしなくていいか
やらなくていいことから書きます。Pro $200を確保しに走る必要はありません。そもそも買えませんし、月200ドルの使用量が要る業務は、従業員20人の会社にはまず存在しません。PlusからPro $100に上げる必要もありません。「念のため」は理由になりません。
やることは1つです。10分で終わります。
会社の仕事に使っているAIを、名義・支払い・プランの3つで1行ずつ書き出す。
書き出すのは「誰が使っているか」ではありません。誰の名義で、誰が払っていて、どのプランかです。3つとも会社なら、その行は問題ありません。1つでも個人が入っていたら、その業務はその人の判断で止まる状態にあります。
- 社内でAIを使っている人に、使っているサービスとプランを聞く
- それぞれについて、名義(個人か会社か)と支払い(個人カードか会社か)を書く
- 個人の名義で会社の仕事が回っている行に印をつける
- 印がついた行のうち、止まると困る業務だけ、会社の契約に載せ替える
4番目で全部を載せ替える必要はありません。止まっても困らない使い方は、個人のままで構いません。困るのは、その人がいないと出せない書類や、その人が休むと止まる手順があるときだけです。載せ替えの順番と、1人の作業を会社の仕事の形にする手順は、生成AIが社内に浸透しない|研修より先に決めることに書きました。
Pro $200を個人で使っている社員がいる会社は、加えて次の2つです。請求の設定を触らないこと。解約・下位プランへの変更・キャンペーンの適用のどれも、外れたら戻れません。更新に使っているカードの有効期限を確かめること。支払いの失敗で外れても同じ扱いです。停止が解けるまで、この2つだけ守れば足ります。
AIに詳しくなる必要はありません。覚えるのは、会社の仕事が誰の契約に載っているか、の1点です。
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