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2026-08-28導入と定着

AI導入がうまくいかない原因|個人任せで止まっている

AI導入がうまくいかない原因|個人任せで止まっている
この記事の結論

原因は社員のやる気でも予算でもなく、たいてい「まだ会社の仕事になっていない」ことです。

中小企業3,892社の調査では、6割超が会社として導入せず、使用を個人の判断に任せたままでした。

止まっているのが「使いどころ」「動かす人」「業務への接続」のどれかを、先に1つ決めてください。

去年から「AIを使おう」とは言っています。何人かは実際に触っていて、便利だという声も上がる。それでも、業務の形は去年と同じまま回っています。

何が減りましたかと聞かれると、答えられない。

社内では「うちの社員がついてこない」「予算がない」という話になりがちです。ただ、原因をそこに置いた時点で、直せなくなります。 やる気も予算も、明日変えられるものではないからです。

原因はもっと手前の、直せる場所にあります。

原因を「やる気」と「予算」に置くと、そこで話が終わる

この2つは原因ではなく、たいていは結果のほうです。

社員が使わないのは、使う理由が業務の中に無いからです。予算が出ないのは、何が減るのかを誰も言えていないからです。順番が逆になっています。

そして、この2つを原因にすると打ち手が「研修をやる」「補助金を探す」の2つしか出てきません。どちらも、止まっている場所には触れていません。

うまくいっていない会社を見ていくと、詰まっている場所はもっと具体的で、しかも数が限られています。まず、実際の数字を見ます。

6割超は、まだ「会社の仕事」になっていない

いちばん多いのは、失敗している会社ではありません。会社としては、まだ何も始めていない会社です。

商工中金が2026年3月31日に公表した中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)を見ます。同金庫の取引先である非上場の中小企業を対象に、2025年12月19日から2026年1月16日にかけて実施され、有効回答は3,892社。回答企業の44.0%が従業員30人以下です。中小企業の実態としては、かなり信用できる規模です。

生成AIの導入状況は、こうなっていました。

生成AIの導入状況。6割超は会社としては導入しておらず、使用を個人の判断に任せている(商工中金・2026年1月調査、有効回答3,892社)。
生成AIの導入状況。6割超は会社としては導入しておらず、使用を個人の判断に任せている(商工中金・2026年1月調査、有効回答3,892社)。
導入状況割合
会社での導入はなく、使用も個人の判断に任せている64.9%
会社での導入はないが、個人登録の生成AIの活用を推奨14.9%
一部の部署・メンバーでパッケージを導入11.2%
全社的にパッケージを導入4.1%
自社専用のモデルやAIエージェントを導入0.9%
会社での使用を禁止・制限1.4%
その他2.5%

表の2行目から5行目までを足した「会社が何らかの形で後押ししている状態」は、31.1%です。この調査では、これを生成AI積極活用層と呼んでいます。

裏返すと、64.9%は「禁止はしていないが、会社としては何もしていない」状態です。

ここが重要です。この状態は、社内では「うちも一応AIは使っている」と表現されます。実際、誰かは使っています。ただし会社の業務としては、まだ何も起きていません。

うまくいかないと感じている会社の多くは、失敗しているのではなく、この6割の中にいます。

会社として入れた会社と、個人任せの会社では、評価が10ポイント違う

同じ「AIを使っている会社」でも、会社が入れたか個人が入れたかで、経営者の手応えがはっきり分かれます。

同じ調査は、積極活用層に対して現時点の総合的な評価を聞いています。「会社による導入」(n=592)と「会社導入はないが個人利用を推奨」(n=534)を分けた結果が、これです。

経営へのプラス効果を感じている割合。会社として導入した企業が36.6%、個人利用を推奨しているだけの企業が26.0%で、差は10.6ポイント(商工中金・2026年1月調査)。
経営へのプラス効果を感じている割合。会社として導入した企業が36.6%、個人利用を推奨しているだけの企業が26.0%で、差は10.6ポイント(商工中金・2026年1月調査)。
評価会社による導入個人利用の推奨
経営への大きなインパクトが表れている2.0%1.7%
業務の効率化など、経営へのプラスの効果が表れている34.6%24.3%
有効事例が出てきている39.5%44.8%
今のところ目立った効果はみられない16.6%22.3%
評価はこれから行う/行う予定はない7.3%6.9%

経営へのプラス効果を感じている割合(上2つの合計)は、会社導入が36.6%、個人利用の推奨が26.0%。その差は10.6ポイントです。「今のところ目立った効果はみられない」も、個人利用のほうが5.7ポイント高い。

調査自身も、経営へのプラス効果につなげるには会社主導のアプローチが必要である可能性を示唆する、と書いています。

ここは慎重に読む必要があります。 これは相関であって、因果の証明ではありません。もともと経営者の関心が高い会社が会社導入に踏み切っている、という逆向きの説明も成り立ちます。

それでも、実務の感覚とはよく合います。個人利用で止まっている限り、成果は個人の中に消えるからです。早く帰れるようになった人が1人いても、会社の業務量は変わりません。次の人が同じことをするとき、また最初からやり直します。

「うまくいっていない」の正体は、たいていこれです。 効果が出ていないのではなく、出た効果が会社に残らない

止まっている場所は3つ。自分がどれかを先に1つ決める

同じ調査を「積極活用層」と「それ以外」に分けると、悩みの中身が入れ替わります。ここが診断に使えます。

生成AI導入・推進における課題を聞いた設問を、積極活用層(n=1,144)と、それ以外(n=2,522)で比べます。

課題積極活用層それ以外
具体的な活用場面が不明21.5%42.0%
自社の業務になじまない6.1%29.5%
導入効果が測定できず、成果が見えにくい14.2%24.6%
一部の部署や職員に知識・ノウハウが偏る24.7%10.2%
業務プロセスに組み込めず、利用が定着しない16.3%10.0%

上の3行はそれ以外の層で高く、下の2行は積極活用層で高い。進むと、悩みが入れ替わります。

つまり、いま自分が何に困っているかを言えば、どこで止まっているかが分かります。止まる場所は、大きく3つです。

止まる場所は3つ。使いどころが決まらない、動かす人がいない、業務に入らない。どこで止まっているかを先に1つ決める。
止まる場所は3つ。使いどころが決まらない、動かす人がいない、業務に入らない。どこで止まっているかを先に1つ決める。

① 使いどころが決まらない(前で止まっている)

「具体的な活用場面が不明」は全体で35.6%、まだ動いていない層に限れば42.0%で最多です。「自社の業務になじまない」も29.5%あります。

この段階でツールを比較しても、決まりません。決まらないのは情報が足りないからではなく、自社のどの作業を渡すかを決めていないからです。業務の選び方は業務改善は何から始めるかに書いたとおり、毎日発生していて、判断が要らなくて、転記が絡んでいるものから取ります。

② 動かす人がいない(人で止まっている)

「導入を推進する人材が社内にいない」は全体で32.0%、「従業員の知識不足、心理的抵抗」が29.2%。どちらも高い水準です。

ここで多いのが、担当を決めずに始めてしまうケースです。誰の仕事でもないタスクは、必ず日常業務に押し出されます。専任である必要はありませんが、名前が1つ入っていることは要ります。

③ 入れたのに業務に入らない(後ろで止まっている)

積極活用層でだけ跳ね上がるのが「一部の部署や職員に知識・ノウハウが偏る」24.7%と「業務プロセスに組み込めず、利用が定着しない」16.3%です。

使ってはいる。けれど、業務の手順書には入っていない。担当が休むと元に戻る。この状態の直し方はSaaSが使われない3つの理由で3つの型に整理しました。直すか畳むかの判断まで来ているなら、ツールが定着しないのほうが近い話です。

3つとも同時に手をつけないでください。 止まっている場所が①なのに研修(②の打ち手)をやると、使いどころが無いまま知識だけが増えて終わります。

いま自社がどこで止まっているのか、切り分けだけでもご相談ください 現状を伺うところから始めます。相談と見積りに費用はいただきません。

「AIを導入した」は、原因の話を1つもしていない

ここまで数字を並べましたが、判断の軸そのものは単純です。

「AIを導入した」という文は、何も言っていません。 意味を持つのは、何が減ったかだけです。転記が1日30分減ったのか、月末の集計が半日早く終わるようになったのか。減ったものが言えないうちは、導入は完了していません。うまくいっているかどうかも、判定できません。

だから、うまくいかない理由を探すときも「AI活用が進んでいない」ではなく「どの作業が、どれだけ残っているか」で見ます。これなら数えられます。

もうひとつ。一般解を持ち込まないでください。 大きい会社の進め方は、全社展開・研修・ガバナンス整備を前提にしています。人が足りない会社が同じ順番でやると、整備が終わる前に日常業務に押し戻されます。

順番はむしろ逆です。1つの作業でいいので、業務の形が変わったと言える状態を先に1つ作る。そこから広げます。全体の進め方はAI導入の進め方で90日の区切り方としてまとめています。

AIに詳しくなる必要もありません。使っている本人が意識しないまま、業務が軽くなっている。それが、うまくいっている状態です。

今日からやること

順番に上から。全部で1時間かかりません。

#やること目安
1社内でAIを業務に使っている人の名前を挙げる5分
2その人が使っている作業を1つずつ書き出す10分
3その作業が、その人が休んだ日も同じように回るかを確認する10分
43で「回らない」なら、止まっている場所は③(業務に入っていない)
51で名前が挙がらないなら、止まっている場所は①か②
6「何に使うか」が言えないなら①、言えるが動かす人がいないなら②
7決めた1つだけを、次の30日の対象にする5分

この時点でツールを比較しないでください。 止まっている場所が決まる前の比較検討は、時間だけを使って何も決まりません。

よくある質問

社員が使ってくれません。研修をやるべきですか。

止まっている場所が②(動かす人がいない)なら有効です。ただし①(使いどころが決まらない)で研修をやると、使い道が無いまま操作方法だけを覚えることになり、翌月には忘れます。先に、対象の作業を1つ決めてください。

会社として導入すると、費用が上がりませんか。

上がります。ただし調査では、会社導入と個人利用の推奨で、経営へのプラス効果を感じている割合が10.6ポイント違いました。費用の話をする前に、対象を1業務に絞ってください。 全社一斉に配るからコストが問題になります。1業務なら、数人分から始められます。

個人が自分のアカウントで使っているのは、問題ですか。

安全面の問題と、成果が残らない問題の2つがあります。安全面は、入れていい情報の線引きだけ先に決めれば足ります。詳しくは生成AIの社内ルールに書きました。成果が残らないほうは、本記事のとおり、会社の業務として扱う以外にありません。

うまくいっているかどうか、どう判定しますか。

「何が減ったか」を1行で書けるかどうかです。書けなければ、まだ判定できる段階にありません。なお同じ調査では、導入効果が測定できず成果が見えにくいという回答が全体の21.3%ありました。測れていないのは、珍しいことではありません。

何から手をつけるか、社内で意見が割れています。

割れるのは、選ぶ基準が共有されていないからです。候補を並べる前に「毎日発生している」「判断が要らない」「転記が絡む」の3条件を先に合意すると、候補はかなり絞れます。

まとめ

AI導入がうまくいかない原因を、社員のやる気や予算に置くと、打ち手が研修と補助金しか出てきません。どちらも、止まっている場所に触れていません。

中小企業3,892社の調査では、64.9%が「会社での導入はなく、使用も個人の判断に任せている」状態でした。そして会社として導入した企業と個人任せの企業では、経営へのプラス効果を感じている割合が10.6ポイント違います。効果が出ていないのではなく、出た効果が会社に残っていない

止まっている場所は、使いどころ・動かす人・業務への接続の3つです。悩みの中身を見れば、どれかは分かります。1つだけ選んで、そこだけ直してください。

そして、うまくいったかどうかは「何が減ったか」でしか判定できません。この1行が書けるようになった時点で、導入は前に進んでいます。

この記事のタグAI導入定着業務改善

どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に内容を確認しています。