ファイルを探す時間が減らない会社へ|名前は3項目で揃える
ファイルを探す時間が減らないのは、置き場所より先に、ファイルの名前が人ごとにばらばらだからです。
フォルダを作り直す前に、日付・取引先・中身の3項目でファイル名を揃えるルールを1つだけ決めます。
検索機能もAIも、名前が揃ってから効きます。順番を逆にすると、探す時間は減りません。
お客様から「先月の見積書をもう一度送ってほしい」と電話が来る。共有フォルダを開くと、「見積書」「見積書_最新」「見積書_修正版」「見積(山田さん用)」が並んでいる。どれが送ったものか分からず、作った本人に聞こうとしたら、今日は外出している。
探しているあいだ、お客様は電話口で待っています。見つからなければ折り返しにして、結局その日のうちに作り直す。そんなことが、週に何度か起きていないでしょうか。
「ファイル 探す 時間」で検索すると、フォルダの分け方のコツや、パソコンの検索機能の使い方が多く出てきます。この記事では、フォルダを作り直す前に、ファイルの名前を揃えるところから始める順番を書きます。
ファイルを探す時間が減らないのは、名前がばらばらだから
探す時間の多くは「どこにあるか」ではなく「どれがそれか」を見分ける時間です。名前が人ごとに違うと、開いて中を見るまで分かりません。
ファイルが見つからないとき、多くの会社はまずフォルダを疑います。階層が深すぎる、分け方が人によって違う、だから作り直そう、と。ところが、フォルダをきれいに作り直しても、しばらくするとまた探すようになります。
理由は、フォルダの中に入るファイルの名前が揃っていないからです。ある人は「見積書」とだけ付け、別の人は日付を後ろに付け、また別の人は「最新」「修正版」を足していく。同じフォルダにたどり着いても、その中で目当ての1つを見分けられない。結局、ファイルを1つずつ開いて中身を確かめることになります。
「最新」「修正版」「確定」という言葉は、付けた本人にとっては意味があります。ただ、次の修正が入った瞬間に、それはもう最新ではなくなります。名前が中身の状態を正しく表さなくなり、探す人を迷わせる原因になります。
つまり、探す時間を減らすには、置き場所を整える前に、名前を見ただけで「どれがそれか」が分かるようにする必要があります。
国の文書管理も、ファイル名の付け方から揃えている
行政機関でも、共有フォルダの文書を探しやすくするために、ファイル名に年月日と内容を入れる付け方を標準として示しています。
大量の文書を扱う役所も、同じ悩みを抱えています。内閣府の公文書管理課がまとめた資料では、共有フォルダで文書を体系的に管理するために「文書ファイルの名称等の付与方法の標準化」が挙げられ、個々の電子ファイル名には作成・使用の年月日と、どのような文書かを端的に示す内容を書く、という考え方が示されています(内閣府大臣官房公文書管理課「文書ファイル等の名称付与の標準化、行政文書の所在情報管理の仕組み」)。
同じ資料では、特定の担当者しか分からない表現や、「〜関係資料」「その他〜」のようにあまり意味を持たない言葉はできるだけ使わない、とも書かれています。名前を付けた本人だけが分かる名前では、ほかの人が探せないからです。
役所のルールをそのまま中小企業に持ち込む必要はありません。保存期間の記号や分類番号まで揃える仕組みは、文書管理の担当者がいる組織だからできることです。人手の足りない会社が取り入れるなら、いちばん効く部分、つまり「日付」と「中身」を名前に入れることだけで十分です。
名前は「日付・取引先・中身」の3項目で決める
ファイル名のルールは、日付・取引先(または案件名)・中身の3項目を、決まった順番で並べるだけにします。項目を増やすほど守られなくなります。
たとえば、次のような形です。
- 20261008_〇〇商事_見積書.xlsx
- 20261008_〇〇商事_見積書_送付済.pdf
- 20261015_社内_営業会議_議事録.docx
決めることは3つだけです。
- 日付は先頭に、年月日を区切らずに書く:先頭に置くと、名前の順に並べたときに古い順・新しい順に並びます。書き方を1つに決めておくと、並び順が崩れません
- 2番目は取引先か案件名:社内のものは「社内」と書きます。誰の・何の件かが、名前だけで分かるようにします
- 最後に中身を書く:見積書、請求書、議事録のように、何の書類かを書きます。送った・確定したなどの状態を書くなら、「最新」ではなく「送付済」のように、あとから変わらない言葉にします
「作った人の名前も入れたい」「版の番号も入れたい」という声は必ず出ます。ただ、項目が4つ、5つと増えると、急いでいるときに省かれ、結局ばらばらに戻ります。まずは3項目で始め、それで足りないと分かった項目だけを後から足します。
区切りの記号と書き方も1つに決める
区切りをアンダーバーにするか、ハイフンにするか、どちらでも構いません。大事なのは、社内で1つに決めることです。会社名の表記も、「株式会社」を付けるか付けないか、略称で書くかを決めておきます。同じ取引先が2通りの名前で並ぶと、検索しても片方しか出てきません。
フォルダの整理と検索・AIは、名前が揃ってから
フォルダは浅くし、細かく分けすぎないほうが探しやすくなります。検索機能やAIに探させる方法も、名前が揃っていて初めて効きます。
名前に日付と取引先が入っていれば、フォルダを細かく分ける必要はあまりありません。年度ごと、または取引先ごとに一段分けるくらいで、あとは名前の順に並べれば見つかります。階層を深くするほど、「どのフォルダに入れたか」を覚えておかなければならなくなり、置く人と探す人の考えがずれます。
最近は、パソコンやクラウドの検索機能、AIに「先月の〇〇商事の見積書を探して」と頼む方法も使えるようになっています。ただ、検索もAIも、手がかりにするのはファイルの名前と中身です。名前に取引先も日付も入っていなければ、検索しても候補がたくさん出てきて、結局1つずつ開くことになります。AIを入れる前に名前を揃えるのは遠回りに見えますが、AIに任せられる範囲を広げるいちばん近い道です。AIに任せていい仕事の分け方は、AIに任せていい仕事の見分け方|判断は新人と同じ基準でに書きました。
情報が人の頭やパソコンの中にとどまって共有されない問題は、名前の付け方だけでは解決しません。書いた人が得をする仕組みがないと、そもそも共有フォルダに置かれないからです。その構造は社内で情報共有ができない原因|書く人が得をしない構造に書きました。
「うちの共有フォルダ、どこから手をつければいいか分からない」ところから、ご相談ください。よく探すファイルを一緒に洗い出し、名前のルールを1つ決めるところから始めます。
今日からやること
| やること | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| よく探すファイルを3種類挙げる | 10分 | 見積書・請求書・議事録など、探して困った経験があるものから選ぶ |
| 3項目のルールを決める | 15分 | 日付の書き方・区切り記号・取引先の表記まで決める |
| ルールを1枚に書いて共有フォルダの先頭に置く | 10分 | 名前の例を3つ載せる。説明文より例のほうが伝わる |
| 明日から作るファイルだけルールで付ける | 毎日 | 過去のファイルは直さない。よく使うものだけ、触ったときに直す |
| 1か月後、探す時間が減ったかを聞く | 10分 | 守られていない項目があれば、その項目を減らす |
過去のファイルを全部付け直そうとすると、それだけで何日もかかり、途中で止まります。新しく作るファイルから揃えれば、よく使うものから自然に入れ替わっていきます。
よくある質問
過去のファイルも全部、名前を付け直す必要がありますか。
ありません。明日から作るファイルだけをルールで付けます。過去のファイルは、開いて使ったときに付け直す程度で十分です。よく使うファイルは自然に新しい名前に置き換わり、使わないファイルはそのまま残っていても困りません。
ファイル名のルールを決めても、守らない人がいます。
項目が多すぎないかを見直してください。4つ以上あると、急いでいるときに省かれます。3項目に絞り、共有フォルダの先頭に例を置くだけで、守られやすくなります。守られていない人を注意するより、ルールのほうを軽くします。
フォルダの階層は、どのくらいが良いですか。
名前が揃っていれば、年度ごとか取引先ごとに一段分ける程度で足ります。階層を深くするほど、置いた人と探す人で考え方がずれ、見つからなくなります。何段までと決める必要はありませんが、迷ったら浅いほうを選びます。
AIや検索機能を入れれば、名前を揃えなくても探せますか。
探せることもありますが、名前がばらばらだと候補がたくさん出て、結局中身を開いて確かめることになります。検索もAIも、名前に日付や取引先が入っているほど正確に見つけられます。名前を揃えるのは、AIを使う前の下準備です。
まとめ
ファイルを探す時間が減らないのは、置き場所より先に、ファイルの名前が人ごとにばらばらだからです。フォルダを作り直しても、中のファイルの名前が揃っていなければ、また1つずつ開いて探すことになります。
まずは日付・取引先・中身の3項目でファイル名を揃えるルールを1つだけ決め、明日から作るファイルに使います。項目は増やさず、足りないと分かったものだけを後から足します。どの書類から揃えるかは、会社ごとに違います。自社で探して困ったものから始めれば十分です。
AIや検索機能は、そのあとで効きます。「AIで探せるようになった」ことより、探す時間がどれだけ減ったかを見てください。
情報が共有されない構造は社内で情報共有ができない原因|書く人が得をしない構造に、紙をどこまで減らすかの線引きはペーパーレスが進まない理由|先に決めるのは「残す紙」に、どの仕事から手をつけるかの洗い出し方は業務棚卸のやり方|全部書き出さないで済ませるに書きました。
どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。
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