音声AIの値段が半分以下に|先に整えるのは台帳
Googleは2026年9月15日、音声AI「Gemini 3.8 Live」を公開しました。料金は1分あたり音声入力0.005ドル、音声出力0.018ドル。9月10日にOpenAIが出した「GPT-Live-1」は音声部分が1分0.05ドルでしたから、5日で半分以下の値段が並んだことになります。
部品の値段は5日で半分になります。だから、値段は導入を決める理由にも待つ理由にもなりません。今回の発表で中小企業に効くのは「話しながら裏で調べる」という1行です。電話AIが役に立つかは、話す上手さではなく、予約台帳や在庫がAIの引ける場所にあるかで決まります。
先に整えるのは電話ではなく台帳です。紙のノートと頭の中にある答えは、どんなに安いAIも引けません。
先週、OpenAIの電話AIが「1分5セント」で出たとき、それは会話の部品の値段だと書きました。5日後、Googleが同じ部品を半分以下の値段で出しました。部品の値段は、5日で半分になります。値段を見て決めるものではない、ということが今回はっきりしました。見るのは別の1行です。
今日やること 電話をAIに出させる予定が無い会社は、何もしなくて構いません。 予定がある会社、または「AI電話」の営業が来る会社は、値段を比べる前に1つ確かめてください。電話で聞かれることの答えは、いまどこにありますか。予約表、在庫、営業時間。それが紙のノートと頭の中にあるうちは、どの会社の音声AIを入れても「確認して折り返します」しか言えません。
何が起きたか
Googleは2026年9月15日、音声AI「Gemini 3.8 Live」と、考える時間を多く取る「Gemini 3.8 Live Extended Thinking」を公開しました。相手の話を聞きながら同時に話し、会話の途中で言語が切り替わっても97以上の言語で追いかけます。料金は1分あたり音声入力0.005ドル、音声出力0.018ドルで、Gemini APIとAI Studioで今日から使えます(Google for Developers「Build real-time voice applications with Gemini 3.8 Live and 3.5 Transcribe」)。
9月10日にOpenAIが出した「GPT-Live-1」は、音声部分が1分0.05ドルでした(OpenAI「Build more natural voice experiences with GPT‑Live‑1 in the API」)。Googleは入力と出力を足しても1分3セント弱です。5日で、半分以下の値段が横に並びました。
発表文には電話回線への接続は書かれていません。会話を運ぶ仕組みは、AgoraやLiveKitなど外部サービスとの連携として並んでいます。発表文に日本語の個別の記載もありません。
中小企業にとって何が変わるか
値段は、決める理由にも待つ理由にもなりません
先週の記事で「5セントは部品の値段」と書きました。今週それが半分になりました。来月また動くでしょう。動き続ける数字は、決めどころになりません。
「安くなったから今のうちに」も「もっと安くなるまで待つ」も、同じ間違いです。中小企業が払うのは部品の値段ではなく、業者の月額か、社内で組む人の時間です。部品が半分になっても、月額の中で半分になるのはその部品の分だけです。
見るべき1行は「話しながら裏で調べる」
今回の発表で中小企業に効くのは、値段ではなくこの1行です。Googleの発表文は、この音声AIが「会話を続けながら、裏で道具やAPIの呼び出しを実行する」と書いています。「ちょっと確認しますね」と言いながら、実際に調べに行く動きです(Google「Introducing Gemini 3.8 Live and 3.8 Live Extended Thinking」)。開発者向けの発表文でも、道具やAPIの呼び出しを裏で実行しながら音声の返答を流し続ける「非同期の関数呼び出し」を、この版の新機能として挙げています(Google for Developers「Build real-time voice applications with Gemini 3.8 Live and 3.5 Transcribe」)。
なぜこれが本体なのか。電話AIが役に立つかどうかは、話す上手さで決まらないからです。
お客さんが電話でかけてくる用件は、だいたい「空いていますか」「ありますか」「何時までですか」です。答えは会話の中にはありません。予約表、在庫、営業時間の中にあります。AIがそこを引きに行けるなら、電話に出る意味があります。引けないなら、どんなに自然に話しても「確認して折り返します」で終わります。それは電話に出たことになりません。
うちは当てはまるのか
電話で聞かれることの答えが、いまどこにあるかで分かれます。
| 答えの置き場所 | 音声AIは |
|---|---|
| 予約システムや在庫システムに入っている | 引ける。電話AIの候補になる |
| ExcelやGoogleカレンダーに1本化されている | 引ける。ただし「1本」であることが条件 |
| Excelが人ごと・店ごとに分かれている | 引けない。どれが正しいかAIには分からない |
| 紙のノートと店主の頭の中 | 引けない。値段がいくらでも同じ |
下の2行に当てはまる会社は、音声AIの値段を比べる段階にありません。先に整えるのは台帳です。そしてそれは、電話AIを入れなくても効く改善です。予約表が1本になれば、電話を取る人が変わっても答えが同じになります。AIはその後で来ればいい。
よくある誤解:97言語対応なら日本語も大丈夫
発表文は97以上の言語と書いていますが、日本語の聞き取りがどの程度かは、発表文からは分かりません。関西の速い話し方、店名の固有名詞、電話の雑音。対応言語の数と、うちの電話で通じるかは別の話です。
確かめる方法はあります。Googleの発表文は、この音声AIがGeminiアプリでも今日から使えると書いています。自分の店で1日に何度も聞かれることを、そのまま日本語で話しかけてみてください。聞き取れているか、聞き返されるかは、5分で分かります。業者の見積を読む前にやる価値があります。
「AIを入れた」より先に減るもの
先に台帳を1本にした会社では、AIを入れる前に減るものがあります。「ちょっと待ってください」と言って奥に確認しに行く時間と、確認した人によって答えが違う事故です。電話AIの話は、ここが減ってから乗せるかどうかを決めれば足ります。
いま何をすべきか/何もしなくていいか
| いまの状態 | やること |
|---|---|
| 電話をAIに出させる予定が無い | 何もしなくていい。営業が来たら「答えはどこから引くのですか」と1つ聞く |
| 予定はあるが、答えが紙と頭の中にある | 音声AIはまだ比べない。予約表か在庫のどちらか1つを、1本のExcelかカレンダーに寄せる |
| 答えがExcelやカレンダーに1本化されている | Geminiアプリの音声で、よく聞かれることを日本語で試す。通じたら業者に「その台帳を引けるか」を聞く |
| 予約システムに入っている | 電話AIの候補になる。ただし任せる電話と残す電話は先に分ける |
決めるのは、答えの置き場所です。値段は5日で半分になります。台帳は、動かさなければ動きません。電話AIの準備は、電話からではなく台帳から始まります。
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