Google Pics登場|減るのは往復の工程
Googleドキュメントとスライドの中で、画像を作って直せるようになりました。
ただし対象プランにBusiness Starterは挙がっていません。まず自社の契約を見てください。
減るのは「作る作業」ではありません。「ここの文字だけ直して」と頼んで待つ、往復の時間です。
画像を作るAIの話は、これまで中小企業にとって少し遠いところにありました。専用のサービスを別に契約して、そこで作って、落として、持ってくる。手間のわりに使いどころが限られる。
今回は、その位置が動きます。すでに契約しているGoogleの中に入ってきました。ただし「デザインができるようになった」という話ではありません。減るのは、もっと地味な工程です。
何が起きたか
Googleが2026年9月2日、Google Workspaceに組み込まれた画像の生成・編集アプリ「Google Pics」の提供を開始しました(Google Workspace 公式ブログ)。
ブラウザで `pics.new` を開いて使うほか、ドキュメントとスライドの中に組み込まれています。画像はパソコン・Googleドライブ・Googleフォトから取り込むか、文章で指示して生成します。
公式ブログに挙がっている、できることは次のとおりです。
- 画像の中の個々のものを選んで直す
- 画像の中の文字を編集・書式変更・翻訳する
- web・SNS・印刷・デジタル向けにトリミングする
- 2Kまたは4Kに拡大する
- 複数の編集をまとめて処理し、不要な変更は元に戻す
中小企業にとって何が変わるか
消えるのは「作る」ではなく「往復」
チラシやSNSの画像で、いちばん時間を食っているのは制作そのものではありません。「ここの文字だけ直してください」と頼んで、返ってくるのを待つ時間です。
外注していれば1往復に半日から数日かかります。社内の誰かが作っていても、その人の手が空くまで止まります。しかも直しは1回では終わりません。日付、価格、担当者名、サイズ違い。中身の判断は済んでいて、あとは直すだけなのに、待ちだけが積み上がります。
この工程が、その場で終わるようになります。画像の中の文字を選んで直せるので、元のファイルや作った人を経由せずに済むからです。
「AIを導入した」は、それ自体では何も意味を持ちません。何が減ったかだけが意味を持ちます。今回減るのは、この待ち時間です。
うちは当てはまるのか
公式ブログが挙げているのは、次のプランです。
| いまの契約 | 公式の案内では |
|---|---|
| Business Standard / Business Plus | 挙がっている |
| Enterprise Standard / Enterprise Plus | 挙がっている |
| Google AI Pro / Ultra(個人プラン) | 挙がっている |
| Google AI Pro for Education | 挙がっている |
| Business Starter | 挙がっていない |
| 無料のGmailだけで運用している | 挙がっていない |
Business Starterは、この一覧に入っていません。小さい会社ほどStarterで契約している例が多く、ここで分かれます。記事を読んで期待したのに開いてみたら無かった、という無駄を避けるため、先に自社の契約プランを見てください。確認する場所は、管理コンソールの請求情報です。
なお「本日より順次」という書き方なので、対象プランであってもすぐに出ているとは限りません。
よくある誤解:デザインの外注が不要になる
なりません。理由は工程の中身にあります。
画像の仕事は「決める」と「作る」と「直す」に分かれています。今回まとめて速くなったのは「直す」だけです。
「決める」——何を載せるか、何を載せないか、どの写真を使うか——は残ります。ここは、その会社の商売を知っている人にしか判断できません。同じ悩みでも、一社一社やり方が違う。チラシに何を書くかは、AIが決められる種類のことではありません。
そして実物の写真が要る場面は、変わらず要ります。自社の商品、店の中、働いている人。ここを生成した画像で埋めると、それは事実の捏造になります。撮る手間は消えません。
作れる人が増えると、決める人が要る
見落とされやすいのはこちらです。
これまで画像を作れる人が社内に1人しかいなかったなら、その1人が結果的にトンマナの番人でした。全部その人を通るので、勝手にバラバラになりようがなかった。
全員が作れるようになると、この関所が消えます。ロゴの位置、色、文字の大きさ、社名の書き方が、部署ごとに散らばり始める。1枚ずつ見ていると気づけず、並べて初めて分かります。
対策は難しいことではありません。出す前に誰か1人が見る、と決めるだけです。作るのを止める必要はありません。決めるところを1か所に残しておく。それだけで散らかりません。
いま何をすべきか/何もしなくていいか
| いまの状態 | やること |
|---|---|
| Business Starter・無料Gmailで運用 | 何もしなくていい。プランを上げる理由にはならない |
| 対象プランだが、画像を作る仕事がない | 何もしなくていい |
| 対象プランで、社内で画像を直している | まず1つ、直しが多い1枚で試す |
| 画像を外注していて、直しの往復が多い | 「決める」は外注、「直す」は社内、と分けられないか見る |
| 社外に出す画像が増えている | 出す前に1人が見る、と決める |
最初に触るものは、毎日または毎週きまって発生していて、判断が要らず、直す内容が決まっているものを選んでください。日付とサイズだけ変える定型のSNS画像などが向いています。一番困っている「新しいチラシを一から作る」は、一番ややこしいところでもあります。そこから始めると、結果が出る前に日常業務に押し戻されます。
AIに詳しくなる必要はありません。使う人が意識しないまま業務が軽くなっているのが、いちばん良い状態です。今回は、その条件に近いほうの更新です。新しく覚えるのではなく、いつも開いているドキュメントの中に増えるだけだからです。
ただし、増えたことに気づかなければ何も変わりません。該当するプランなら、次に画像を直すときに一度だけ、外に出さずにその場でやってみてください。それで往復が1回減れば、この記事の用は足りています。
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