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2026-09-04導入と定着

AI導入の効果測定|見るのは減った時間だけ

AI導入の効果測定|見るのは減った時間だけ
この記事の結論

測るのは「減った時間」1つで足ります。売上も品質も、測らないと決めてください。

ただし導入前に数えていない会社は、後から測れません。回数・1件の所要時間・月の合計の3つを、始める前に控えます。

そして減った時間の行き先を先に決めてください。決めていないと、空いた時間は別の作業に吸われて何も残りません。

半年前にAIを使い始めました。現場からは「便利です」という声も上がっています。それでも、役員会で「で、いくら効果が出たの」と聞かれると答えられない。

来期も続けるべきかの判断がつかないまま、契約だけが更新されていく。

この状態は、測り方を知らないから起きているわけではありません。測る対象を決めずに始めたから起きています。


「効果があった」は、測らなくても言えてしまう

感覚で答えられる問いにしている限り、判定は永遠に終わりません。

情報処理推進機構(IPA)が2026年7月16日に公表した「DX動向2026」の調査結果のポイントを見ます。2026年4月17日から6月12日にかけて、国内企業の経営層・情報システム部門・DX推進部門などに実施し、1,799社から回答を得たものです。

AIを導入した企業に効果を聞いた結果(n=1,037)は、こうなっていました。

回答割合
期待以上の効果があった13.7%
期待どおりの効果であった18.1%
一定の効果はあった50.6%
期待した効果はまだ得られていない12.2%
わからない5.3%

最も多いのは「一定の効果はあった」の50.6%です。 期待以上と期待どおりを足した31.8%より、はるかに大きい。

上の2つは「期待」との比較を要求します。期待値を数字で置いていない会社は、比較する相手が無いので、この欄しか選べません。 半数がここにいるということは、半数が事前に何も置いていないということでもあります。

効率化した91.6%、残業が減った29.2%

同じ調査で、効果の中身を聞いた結果(n=853)がこれです。

「効率化した」は91.6%。ただし時間が減ったと言えているのは29.2%にとどまる。(IPA「DX動向2026」より作成)
「効率化した」は91.6%。ただし時間が減ったと言えているのは29.2%にとどまる。(IPA「DX動向2026」より作成)
効果の内容割合
業務が効率化したり迅速化した91.6%
企画提案等の品質や速さが向上した48.9%
残業時間の削減につながった29.2%
従業員がより高度な業務に集中できるようになった26.7%
外部に委託していた費用の削減につながった13.8%
売上や利益が向上した3.9%

「効率化した」は91.6%。「残業時間の削減につながった」は29.2%です。

効率化したと答えた会社のうち、時間が実際に減ったと言えているのは3割ほどしかありません。残りの6割強は、効率化した実感はあるのに、減った時間を指せていない。

ここが、この記事の全部です。効率化は感覚で言えます。減った時間は、数えていないと言えません。

「AIを導入した」は、それ自体では何も意味しません。意味を持つのは、何が減ったかだけです。

測るのは「減った時間」1つでいい

導入の目的が作業時間の短縮なら、測る対象も作業時間1つに絞ります。

中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した実態調査(全国の中小企業10,000社に配布・有効回答1,668社)では、AIの導入目的の最多は「業務効率化/作業時間の短縮」で87.0%でした。効果としても同じ項目が83.2%で突出しています。

目的が1つに寄っているのに、測る指標だけを増やす理由がありません。

売上・品質・顧客満足度は、測らないと決める

先ほどのIPAの調査で、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%、「対象となる顧客が拡大した」は2.7%でした。数%台です。

これを「AIには売上効果が無い」と読むのは早すぎます。売上は多くの要因で動くので、AIの寄与だけを切り出せないというだけです。従業員が数十人の会社なら、大口が1件動いただけで月次は変わります。

切り出せない数字を指標に置くと、良くなっても悪くなっても、AIのせいだと言い切れません。判定できない指標は、指標として役に立ちません。

だから最初は捨てます。品質も顧客満足度も、測らないと決めてください。測らないと決めることは、測定の失敗ではなく設計です。

大きい会社の測り方は、そのまま持ち込めない

投資対効果を算定し、KPIを分解し、部門ごとに目標値を割り当てる。この方法は、それを回す担当者がいる会社で成立します。IPAの同じ調査では、AIを「導入している」企業は従業員1,001人以上で78.3%、100人以下では16.6%でした。体力が違います。

人手の足りない会社で測定シートの運用に人を割くと、測ることが新しい業務として増えます。 1業務・3項目まで。増えたら削ってください。

手順は3つ。ただし1つ目は導入前にしかできない

導入前に数えていない会社は、後から効果を測れません。

半年使ってから「効果を測ろう」となっても、比べる相手がありません。記憶の中の「前は大変だった」と比べることになり、それは測定ではありません。

手順1:始める前に、3つだけ数える

対象は1業務だけです。選び方は業務改善は何から始めるかに書いたとおり、毎日発生していて、判断が要らず、転記が絡んでいるものから選びます。

数えるのは3つです。

始める前に数えるのはこの3つだけ。3つ目は前の2つの掛け算になる。
始める前に数えるのはこの3つだけ。3つ目は前の2つの掛け算になる。
数えるもの
1か月あたりの発生回数見積書の作成 月40件
1件あたりの所要時間1件15分
月の合計時間40件 × 15分 = 10時間

ストップウォッチは要りません。 担当者に「1件だいたい何分ですか」と聞いて、そのまま書けば十分です。15分か20分かの精度は問題になりません。桁が合っていればいいからです。

3つ目の月の合計時間だけは、必ず紙かファイルに残してください。これが後で唯一の比較対象になります。

手順2:判定日に、同じ3つを同じ数え方で数える

判定日は、始める前にカレンダーへ入れておきます。区切り方はAI導入の進め方で書いた90日が目安です。

数え方を途中で変えないでください。 「実は確認作業も含めるべきだった」と範囲を広げると、前後の比較が成立しなくなります。気づいたことは次の業務で直せば済みます。

そして、判定はこの1行で書きます。

「見積書の作成が、月10時間から4時間になった。6時間減った」

これが書けたら効果測定は終わりです。書けなければ、効果が無かったのではなく、測れていないという結果になります。それも結論として使えます。次は測れる業務を選べばいいからです。

手順3:減った時間の行き先を、先に決める

ここを決めていないから、91.6%と29.2%の差が生まれます。

減った時間の行き先は3つ。決めなければ3つ目になる。
減った時間の行き先は3つ。決めなければ3つ目になる。

減った6時間の行き先には、たいてい3つしかありません。

行き先何が起きるか
残業を減らす人件費として金額になる。最も分かりやすい
別の仕事に回す手が回っていなかった業務が動く。金額にはならない
何も決めない別の作業がその時間を埋める。半年後、誰も効果を説明できない

3つ目が既定値です。決めなければ、そうなります。空いた時間は必ず何かに吸われるので、吸わせ先を先に指定しておかないと、減ったこと自体が見えなくなります。

残業削減が29.2%に留まっているのは、効率化が嘘だったからではありません。行き先が決まっていなかっただけだと考えるほうが、実感には近いはずです。

自社の1業務で何を数えるか、切り分けだけでもご相談ください 現状を伺うところから始めます。相談と見積りに費用はいただきません。

なお、そもそも使われているかどうかの確認はツールが定着しない|直すか捨てるかの決め方、何が減ったかを言えない状態そのものについてはAI導入がうまくいかない原因に分けて書いています。

今日からやること

上から順に。30分ほどで終わります。

#やること目安
1効果を測りたい業務を1つだけ選ぶ。複数選ばない5分
2その業務の「月の発生回数」を担当者に聞く5分
3「1件あたり何分か」を担当者に聞く。感覚の申告でよい5分
42×3で月の合計時間を出し、日付を添えて残す5分
5減った時間の行き先を「残業」か「別の仕事」で1つ選ぶ3分
6判定日をカレンダーに入れる1分
7売上・品質・満足度は測らないと決めて、書き出したものから消す2分

4番を飛ばさないでください。 ここを飛ばした時点で、判定日に比べる相手が無くなります。

よくある質問

導入前に数えるのを忘れました。もう測れませんか。

その業務については測れません。記憶と比べても判定にはなりません。ただし、次の1業務からは測れます。 いま使っているAIをやめる必要はなく、対象を1つ足して、そちらを始める前に3つ数えてください。半年後に振り返れるのは、その業務のほうです。

月10時間が4時間になった、という数字に説得力はありますか。

社内の判断材料としては十分です。決裁で必要なのは厳密な原価計算ではなく、続けるか、やめるか、広げるかを決められる粒度だからです。小数点以下まで詰めた資料は、その作成時間のほうが大きくなりがちです。

時間は減りましたが、残業は変わっていません。失敗ですか。

失敗ではありませんが、まだ効果は会社に届いていません。 減った時間が別の作業に吸われている状態です。行き先を決め直してください。手が回っていなかった業務を1つ入れるか、残業を減らすか。どちらでも構いませんが、決めるまでは金額にも余力にもなりません。

複数の業務でまとめて効果を測ってはいけませんか。

勧めません。まとめて測ると、効いた業務と効かなかった業務が相殺されて、どちらも見えなくなります。 1業務ずつなら、効かなかったときに「この業務には合わなかった」という判断が残ります。判断が残ることのほうが、合計値より価値があります。

まとめ

AI導入の効果測定は、指標を増やすほど判定できなくなります。

調査が示していたのは、9割超が「効率化した」と答える一方で、時間が減ったと言えるのは3割弱という差でした。この差は、測り方の技術ではなく、始める前に数えたかどうかで生まれています。

数えるのに要るのは30分です。派手なことは何もしませんが、来期に続けるかどうかを、感覚ではなく1行で決められるようになります。

出典情報処理推進機構「国内企業のDX動向・AI活用動向のポイント」(2026年7月16日公表・PDF)(調査実施期間:2026年4月17日〜6月12日/国内企業の経営層・情報システム部門・DX推進部門等/回収数1,799社)/中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)(調査期間:令和7年11月17日〜12月12日/全国の中小企業10,000社に配布・有効回答1,668社)

この記事のタグAI導入業務改善定着

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に内容を確認しています。