kintoneが使われない理由|最初に決めるのは見る人
kintoneが使われないのは、操作が難しいからではありません。入力したデータを誰も見ていないので、入力する理由がないのです。
まず[アプリ管理]画面で、レコードの最終更新日が止まっているアプリを数えます。
立て直すアプリは1つに絞り、そのデータを「誰が、いつ見るか」を先に決めてから作り直します。
kintoneを契約して、担当者が日報や案件管理のアプリを作った。説明会も開いた。最初の数週間は入力があったのに、気づけば誰も開いていない。現場は結局Excelとメールで回していて、kintoneのアプリだけが増えていく。
この記事はツールの使い方の話ではありません。使われていないアプリをどう見つけるかと、立て直すときに何を先に決めるかを書きます。
kintoneが使われないのは、操作が難しいからではない
入力したデータを誰も見ていないので、入力する理由がないのが一番の原因です。
kintoneは、自分たちで業務のアプリを作れる道具です。作ること自体は難しくありません。だからこそ、作ったあとに使われない理由は、操作の難しさより、使い方の決め方のほうにあります。使われなくなったアプリを見ると、たいてい次のどれかが当たっています。
入力する人と、得をする人が違う
日報や案件の進み具合を入力するのは現場の人です。それを一覧やグラフで見て得をするのは、上司や経営者です。入力する側から見ると、手間が一つ増えただけで、自分に返ってくるものがありません。
これはkintoneに限らず、買ったサービスが使われないときの典型です。構造の話はSaaSが使われない3つの理由に詳しく書きました。kintoneで特に起きやすいのは、見るはずの上司も実は見ていないことです。見られていないと分かれば、入力は止まります。
Excelをそのまま写したアプリは、Excelと並んで残る
kintoneには、今使っているExcelファイルを読み込んで、そのままアプリを作る機能があります。最初の一歩としては便利です。ただ、Excelの列をそのまま項目にすると、入力の手間はExcelと同じか、むしろ増えます。
そのうえ、元のExcelを消していないと、現場は慣れたExcelのほうを使い続けます。同じ情報が二か所にある状態になり、どちらが正しいのか分からなくなります。
アプリが増えるほど、どれを開けばいいか分からなくなる
作るのが簡単なので、思いついた人が思いついた分だけアプリを作ります。似た名前のアプリが並び、どれに入力すればいいのか、現場の人が判断できなくなります。開く前に迷う道具は、使われません。
まず「使われていないアプリ」を画面で数える
感覚ではなく、[アプリ管理]画面の「レコードの最終更新日」で数えます。
立て直す前に、本当に使われていないのはどのアプリかを確かめます。「たぶん誰も使っていない」という感覚は、当たっていることも外れていることもあります。
kintoneには[アプリ管理]画面があり、ユーザーが作ったアプリの利用状況を確認できます。kintoneの公式ヘルプ「[アプリ管理]画面でアプリの一覧を確認する」によると、一覧には「レコードの最終更新日」「レコード数」「作成者」「設定の最終更新日時」などが並びます。一覧に出るのは自分に管理権限のあるアプリで、cybozu.com共通管理者であれば、管理権限やアクセス権がないアプリも表示されます。
一覧はCSV形式でダウンロードすることもできます(アプリの一覧をCSV形式でダウンロードする)。Excelで並べ替えれば、止まっているアプリがすぐに分かります。
見るのは三つだけです。
- レコードの最終更新日:最後にデータが入ったのはいつか。止まっていれば、使われていません
- レコード数:作ったあと、どれだけ入力されたか。ほとんど無ければ、最初から使われていません
- 作成者:誰が作ったか。その人がもう辞めていれば、直せる人がいない可能性があります
この三つで、アプリを三つに分けます。
- 毎週データが入っているアプリ:使われています。今は触りません
- 途中でデータが止まったアプリ:一度は使われていました。止まった理由を聞く価値があります
- ほとんどデータが入っていないアプリ:作っただけで終わっています。多くはやめてよいアプリです
立て直す候補は、二つめの「途中で止まったアプリ」です。一度は使われていたので、止まった理由が分かれば戻せることがあります。
立て直すなら、最初に「見る人」を1人決める
作り直す前に、そのデータを誰が、いつ見るのかを1つだけ決めます。
止まったアプリを立て直すとき、多くの会社は項目を減らしたり、画面を見やすくしたりするところから始めます。それも大事ですが、順番が逆です。先に決めるのは、入力されたデータを誰が、どの場面で見るのかです。
たとえば案件管理のアプリなら、「毎週月曜の営業会議で、社長がこの一覧を画面に映して話す」と決めます。日報なら、「課長が毎朝、前日の分に一言返す」と決めます。見る人と見る場面が決まれば、入力する側にも理由ができます。会議で自分の案件が話題に出るなら、入力しておかないと困るからです。
見る場面が決まると、要らない項目も見えてきます。会議で見ない項目は、入力してもらう必要がありません。項目を減らすのは、そのあとです。
入力した人にも返ってくるものを作る
見る人を決めたら、もう一つ、入力した人の側に返ってくるものを作ります。kintoneの標準機能では、「レコードの条件通知」が使えます。
公式ヘルプ「レコードの条件通知を設定する」によると、レコードの値が指定した条件を満たしたときに、指定したユーザーや、フォームに置いたユーザー選択フィールドの人などへ通知を送れます。たとえば、依頼のアプリで「承認待ち」になったら担当の上司に知らせる、上司が「承認」にしたら依頼した人に知らせる、という使い方ができます。
こうすると、入力した人は「入れておけば、返事が来る」と分かります。メールや口頭で催促しなくてよくなる分、入力するほうが楽になります。
ただし、同じヘルプには注意も書かれています。ExcelやCSVファイルで登録・更新したレコードは、条件を満たしても通知されません。また、レコードを操作した本人には通知されません。Excelからまとめて読み込む運用を残したままだと、通知の仕組みは働かないことがあります。
大きい会社のやり方は持ち込まない
大きな会社では、kintoneの専任担当を置き、全部の業務をアプリにしていく進め方もあります。人の足りない会社では、それはできません。全業務を一度にアプリにすると、使われないアプリが増えるだけです。
立て直すのは、一度に1つのアプリだけにします。見る人と見る場面を決め、通知で返ってくるものを作り、1か月使われ続けたら次のアプリに進みます。地味ですが、これが一番続きます。
「うちのkintone、どのアプリから立て直せばいいか」から、ご相談ください。アプリ管理画面の一覧を一緒に見て、残すもの・直すもの・やめるものを分けるところから始めます。
直さずにやめるアプリも決める
ほとんどデータが入っていないアプリは、直すより、やめるほうが早いことが多いです。
三つめの「ほとんどデータが入っていないアプリ」は、作った時点で使う場面が決まっていなかったアプリです。直そうとしても、見る人も入力する理由もありません。思い切ってやめるほうが、現場の迷いは減ります。
やめるときは、まず作った人と、そのアプリを使うはずだった人に確認します。そのうえで、アプリの名前に「使用停止」と付け、アクセス権を管理者だけに絞るなど、現場の人が開かない状態にします。直すか捨てるかの決め方と、捨てるときの手順は、ツールが定着しない|直すか捨てるかの決め方に書きました。
作成者が一人に偏っている場合は、そのアプリを直せる人が一人しかいないことになります。その人が休んだり辞めたりすると、アプリは止まります。作れる人が一人だけになる失敗は、ノーコードで失敗する会社の共通点で扱いました。立て直すアプリは、直せる人を二人にしておきます。
今日からやること
| やること | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| [アプリ管理]画面を開き、アプリの一覧をCSVでダウンロードする | 15分 | 共通管理者で開くと、管理権限の無いアプリも見える |
| 「レコードの最終更新日」で並べ替え、アプリを三つに分ける | 30分 | 毎週入っている/途中で止まった/ほとんど入っていない |
| 途中で止まったアプリから、立て直すものを1つだけ選ぶ | 15分 | 一度は使われていたものを選ぶ |
| そのアプリのデータを「誰が、いつ見るか」を1つ決める | 30分 | 会議・朝の確認など、すでにある場面に乗せる |
| 見る場面で使わない項目を外し、条件通知を1つ設定する | 1時間 | 入力した人に返ってくる通知を優先する |
| ほとんど入っていないアプリは、作った人に確認して使用停止にする | 30分 | 消す前に、開かれない状態にする |
| 1か月後、立て直したアプリの「レコードの最終更新日」をもう一度見る | 15分 | 入力が続いていれば、次のアプリに進む |
よくある質問
kintoneが使われないのは、社員のITリテラシーが低いからですか。
ほとんどの場合、違います。同じ社員がスマホのアプリやチャットは問題なく使っています。kintoneが使われないのは、入力しても誰も見ていない、Excelと二重になっている、どのアプリに入れればいいか分からない、といった使い方の決め方に原因があることがほとんどです。研修を増やす前に、見る人と見る場面が決まっているかを確かめてください。
使われていないアプリは、すぐに削除していいですか。
先に、作った人と使うはずだった人に確認してください。kintoneの[アプリ管理]画面では、アプリの削除と、削除したアプリの復旧ができます。ただ、すぐに消すより、まず名前に「使用停止」と付けてアクセス権を絞り、しばらく誰も困らないことを確かめてから消すほうが安全です。
Excelは完全にやめないといけませんか。
全部をやめる必要はありません。ただ、kintoneのアプリと同じ情報をExcelでも管理していると、どちらが正しいか分からなくなり、kintoneのほうが使われなくなります。立て直すアプリについては、元のExcelは読むだけにして、新しい入力はkintoneにだけ入れると決めてください。
まとめ
kintoneが使われないのは、操作が難しいからではありません。入力したデータを誰も見ていない、Excelと二重になっている、アプリが増えすぎてどれを開けばいいか分からない。原因は、作ったあとの使い方の決め方にあります。
まず[アプリ管理]画面で、レコードの最終更新日とレコード数を見て、アプリを三つに分けます。途中で止まったアプリから1つだけ選び、そのデータを誰が、いつ見るのかを先に決めます。条件通知で入力した人にも返ってくるものを作り、ほとんど使われていないアプリはやめます。
見るべきは、アプリをいくつ作ったかではなく、入力が続いているアプリがいくつあるかです。1つ立て直せば、次のアプリの作り方も見えてきます。
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