Copilotが社内で使われない|配る前に決める1つの業務
Copilotが使われないのは、社員がAIに不慣れだからではありません。何の仕事に使うかが決まらないまま配ったので、開く理由が無いのです。
まず管理センターの使用状況レポートで、誰がどのアプリで最後にいつ使ったかを確かめます。
使う業務を1つに絞り、効果は使った人数ではなく、その業務で何が減ったかで見ます。
Microsoft 365 Copilotのライセンスを買い、社員に配った。説明会も開いて、WordやOutlookのどこにボタンがあるかも見せた。ところが3か月たっても、使っていると言うのは数人だけ。ほかの人に聞くと「何に使えばいいか分からない」「試したけど、自分で書いたほうが早かった」と返ってくる。毎月の請求だけは届く。
この記事は、Copilotの便利な使い方やプロンプト集ではありません。今のCopilotが実際にどれだけ使われているかをどう確かめるかと、立て直すときに何から決めるかを書きます。
Copilotが使われないのは、社員がAIに不慣れだからではない
何の仕事に使うかが決まらないまま配ったので、開く理由が無いのが一番の原因です。
Copilotは、WordにもExcelにもOutlookにもTeamsにも入っています。どこでも使えるので、配る側は「みんな自分の仕事で使ってくれるだろう」と考えます。でも、使う側から見ると、いつもの仕事の途中で「ここでCopilotを開こう」と思う場面がありません。止まりかけたCopilotを見ると、たいてい次のどれかが当たっています。
「何にでも使える」は「何に使うか自分で考えて」と同じ
使い道を決めるのを、使う人に任せています。忙しい現場の人にとって、新しい道具の使い道を考えるのは、それ自体が一つの仕事です。最初の数回は試しても、手応えが無ければいつものやり方に戻ります。ChatGPTで同じことが起きる話は、ChatGPTを使わなくなった理由に書きました。飽きたのではなく、刺さる仕事が無かったのです。
研修で覚えるのはボタンの場所だけ
説明会では「ここを押すと要約できます」と見せます。ボタンの場所は分かりますが、自分のどの仕事のどの場面で押すかは、説明会では決まりません。結果として、研修を受けた直後は試す人が増え、その後また減ります。
配った人が、使われているかを見ていない
ライセンスを配った後、誰がどれくらい使っているかを見ている会社は多くありません。「なんとなく使われていない気がする」まま、更新の時期を迎えます。見ていないので、どこから直せばいいかも分かりません。
まず使用状況レポートで「誰がいつ使ったか」を確かめる
感覚ではなく、管理センターのレポートで、ライセンスを持つ人のうち実際に使った人を確かめます。
立て直す前に、Copilotが本当に使われていないのか、一部の人だけが使っているのかを確かめます。Microsoftの公式ドキュメント「Microsoft Copilot の使用状況レポート」によると、Microsoft 365 管理センターの「レポート」から「使用状況」を選び、レポートの一覧で「Microsoft Copilot」を選ぶと、使用状況のページが開きます。見るには管理者のロールが必要です。
このページでは、期間を過去7日、28日、90日、180日から選べます。上のほうに、次の数字が並びます。
- 有効なユーザー:その期間にCopilotのライセンスを持っていた人の数
- アクティブ ユーザー:そのうち、どれか一つのアプリでCopilotの機能を自分から使った人の数
- アクティブ ユーザー率:アクティブ ユーザーを有効なユーザーで割ったもの
全体の数字より役に立つのは、下にあるユーザーごとの表です。一人ずつ、Copilotで最後に何かをした日が出ます。Teams、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど、アプリごとの最後の日も分かれて出ます。
この表で、次のことを確かめます。
- 一度も使っていない人:ライセンスを持っているのに、最後に使った日が空いている人
- 最初だけ使った人:最後に使った日が、配った直後で止まっている人
- 使い続けている人:最近の日付が入っている人。その人がどのアプリで使っているか
使い続けている人が見つかったら、その人に「何の仕事で使っているか」を聞いてください。社内で立て直すときの、いちばん確かな手がかりになります。
なお、より詳しい分析ができる「Copilot ダッシュボード」もあります。ただ、Copilot ダッシュボードの公式ドキュメントによると、機能ごとの数字には最小グループ サイズが適用され、使った人が少ない行は「--」と表示されます。人数の少ない会社では、管理センターのユーザーごとの表で足ります。
使う業務を1つに絞り、その業務を持つ人に寄せる
全員に配って様子を見るのをやめ、1つの業務を決めて、その業務を持っている人に使ってもらいます。
定着させようとして、多くの会社は「全員で使ってみよう」と呼びかけます。でも、全員が自分で使い道を考える状態は、最初に書いた止まり方と同じです。
先に決めるのは、どの業務でCopilotを使うかです。それも一つだけにします。
選ぶときの目安は、次の三つです。
- 毎週かならず発生する
- 下書きや要約など、最初の形を作るのに時間がかかっている
- 出来上がりを確かめる人がはっきりしている
たとえば「週1回の定例会議の議事メモを、TeamsのCopilotで下書きする」と決めたとします。会議を主催する人が下書きを作り、出席者が中身を確かめて直します。これなら、毎週同じ場面で同じボタンを押すので、開く理由がはっきりします。
ライセンスは「業務を持つ人」に寄せてよい
業務を決めると、その業務に関わらない人には、今すぐライセンスが要らないことも見えてきます。使っていない人のライセンスを、決めた業務を持つ人に付け替えるのは、無駄を減らす判断です。付け替えは管理センターでできます。使用状況レポートのユーザーごとの表には、過去180日のうちにライセンスを持っていた人が、後で外れた場合も含めて出ると公式ドキュメントにあります。付け替えた後も、前の人の記録は追えます。
料金の上限を先に決めておく話は、Copilotに従量課金が既定で付くに書きました。使われていないライセンスの見直しと合わせて確かめてください。
大きい会社のやり方は持ち込まない
大きな会社では、推進チームを作り、部署ごとに推進役を置き、全社でプロンプト集を配る進め方もあります。人の足りない会社では、それはできません。推進役を兼務で置いても、本業に押されて止まります。
一つの業務が回るまで、ほかの業務には広げません。その業務で「毎週Copilotで下書きする」が1か月続いたら、次の業務に進みます。地味ですが、これが一番戻りません。
「うちのCopilot、何の業務から使えばいいか」から、ご相談ください。今の仕事の流れを一緒に見て、最初に絞る業務と、ライセンスを持つ人を決めるところから始めます。
効果は「使った人数」ではなく「減ったもの」で見る
アクティブ ユーザーが増えても、仕事が軽くなっていなければ意味がありません。
使用状況レポートの数字は、使われているかを確かめるのには役立ちます。でも、使った人数が増えたことは、仕事が減ったことと同じではありません。「Copilotを導入した」「アクティブ ユーザーが増えた」は、それだけでは何も意味しません。意味を持つのは、決めた業務で何が減ったかだけです。
決めた業務について、始める前と1か月後で、次のどれかを比べます。
- その業務にかかっていた時間(担当者の感覚でよいので、始める前に一度書き留めておく)
- 差し戻しや書き直しの回数
- その業務のために残業していた日
減っていなければ、業務の選び方が合っていなかった可能性があります。別の業務に替えるか、その業務ではCopilotを使わないと決めます。やめる判断も、立て直しの一つです。直すか捨てるかの決め方は、ツールが定着しない|直すか捨てるかの決め方に書きました。
今日からやること
| やること | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 管理センターで「レポート」→「使用状況」→「Microsoft Copilot」を開く | 10分 | 管理者のロールで開く |
| 期間を28日にして、有効なユーザーとアクティブ ユーザーを見る | 5分 | 数字は社内で比べるだけにする |
| ユーザーごとの表で、最後に使った日を一人ずつ確かめる | 20分 | 一度も使っていない人、最初だけの人を分ける |
| 使い続けている人に、何の仕事で使っているかを聞く | 15分 | 社内でいちばん確かな手がかり |
| Copilotを使う業務を1つだけ決める | 30分 | 毎週発生し、確かめる人がはっきりしている業務 |
| その業務にかかっている時間を書き留める | 10分 | 1か月後に比べるため |
| 使っていない人のライセンスを、その業務を持つ人に寄せるか決める | 15分 | 付け替えは管理センターでできる |
| 1か月後、その業務で何が減ったかを確かめる | 15分 | 減っていれば次の業務へ、減っていなければ業務を替える |
よくある質問
Copilotが使われないのは、社員がAIに詳しくないからですか。
ほとんどの場合、違います。止まる原因は操作より「どの仕事で開くか」が決まっていないことです。AIに詳しくなってもらう必要はありません。詳しくなくても使える業務を一つ決めるほうが先です。詳しくなる必要が無い理由は、AIを使いこなせない|詳しくなる必要はないに書きました。
研修を増やせば使われるようになりますか。
研修でボタンの場所は覚えられますが、自分の仕事のどこで押すかまでは決まりません。研修を増やす前に、使う業務を一つ決めてください。そのうえで、その業務の担当者にだけ、その場面での使い方を見せるほうが続きます。
Copilotの導入効果はどう測ればいいですか。
使用状況レポートのアクティブ ユーザーは、使われているかの目安です。効果そのものではありません。効果は、決めた業務にかかる時間や、書き直しの回数がどう変わったかで見ます。始める前に、今どれくらいかかっているかを書き留めておいてください。
使っていない人のライセンスは外してもいいですか。
外したり、別の人に付け替えたりすることはできます。使用状況レポートには、過去180日のうちにライセンスを持っていた人が、後で外れた場合も含めて残ります。使っていない人から外し、決めた業務を持つ人に寄せるのは、無駄を減らす判断です。
まとめ
Copilotが使われないのは、社員がAIに不慣れだからではありません。何にでも使えるので使い道を自分で考えなければならない、研修で覚えるのはボタンの場所だけ、配った人が使われているかを見ていない。原因は、何の仕事に使うかの決め方にあります。
まず管理センターの使用状況レポートで、誰がどのアプリで最後にいつ使ったかを確かめます。そのうえで、使う業務を一つだけ決め、その業務を持つ人にライセンスを寄せます。
見るべきは、Copilotを開いた人の数ではなく、その業務で何が減ったかです。一つの業務で減ったものが見えれば、次に使う業務も見えてきます。
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