日報が意味がないと言われる理由|読む人がいないならやめていい
日報が意味がないと言われるのは、書く手間に対して、読んで何かを決める人がいないからです。
読む人と、読んで何を決めるかを1行で書き出し、それが書けない日報はやめて構いません。残すなら「困っていること」を1行だけにします。
ただし、始業・終業の時刻を日報で付けている会社は、やめる前に労働時間を記録する別の方法を用意します。
毎日、仕事の終わりに15分かけて日報を書く。今日やったこと、明日やること、所感。上司に送ると既読はつくものの、返事が来るのは月に1回あるかどうか。書いている本人は「これ、誰か読んでいるのだろうか」と思いながら、それでも毎日書き続けている。
社長の側にも迷いがあります。「社員が何をしているか分からなくなるのが怖い」「やめたら緩むのではないか」。それで、意味がないと薄々感じながらも、やめる決断ができずにいます。
「日報 意味がない」で検索すると、日報アプリの紹介や、書き方のテンプレートが多く出てきます。この記事では、書き方の前に、その日報を続けるべきかどうかの決め方を書きます。
日報が意味がないと言われるのは、読んで決める人がいないから
日報が役に立つのは、誰かが読んで、何かを決めるときだけです。読む人も決めることもない日報は、書く手間だけが毎日かかります。
日報を始めたときには、たいてい理由がありました。新人の様子を見たい、案件の進み具合を知りたい、月末の集計に使いたい。ところが、その新人が一人前になり、案件の管理は別の表に移り、集計は誰もやらなくなる。理由が消えても、日報だけは「毎日書くもの」として残ります。
書く側は、読まれていないことに気づきます。返事がない、内容について聞かれたことがない、先週と同じことを書いても誰も何も言わない。そうなると、日報は仕事の報告ではなく、「書いたという事実」を残すための作業になります。内容は毎日同じ定型文になり、ますます読む価値がなくなります。
つまり、日報が意味がないと感じられるのは、書く人の書き方が悪いからではありません。読む側の使い道が、いつの間にかなくなっているからです。
続けるか決める前に、読む人と使い道を1行で書き出す
今の日報について、「誰が読むか」「読んで何を決めるか」を1行ずつ書き出します。決めることが書けなければ、その日報はやめて構いません。
書き出す2行
紙でも画面でもいいので、今の日報について次の2行を書きます。
- 誰が読むか:個人の名前で書く。「上司」「管理部」ではなく、実際に開いている人
- 読んで何を決めるか:「人の割り振りを変える」「お客様に連絡する」「手伝いに入る」のように、読んだあとの行動で書く
ここで「様子を把握するため」「何かあったときのため」としか書けないなら、その日報で決めていることは今はありません。様子を把握したいなら、日報より、週に1回10分話すほうが早く伝わることも多いはずです。
書き出すと、3つに分かれる
書き出してみると、日報はだいたい次の3つに分かれます。
- 決めることがある:続ける。ただし、決めるのに要る項目だけに減らす
- 集計に使っている:集計を手で写しているなら、日報から集計表に転記する作業そのものを見直す
- 決めることがない:やめる
2つ目の「集計に使っている」は、日報そのものより、そこから数字を写す作業のほうが重いことがよくあります。写す作業を減らす考え方は、転記作業の無駄をなくす|自動化の前に、消す転記を分けるに書きました。日報を含めて、毎日の作業を一度並べてみたい場合は、業務棚卸のやり方|全部書き出さないで済ませるの手順が使えます。
大きな会社では、日報が人事評価や工数の管理とつながっていて、簡単にはやめられないことがあります。人手の足りない会社がその形をまねする必要はありません。同じ「日報」でも、会社ごとに使い道は違います。自社で決めることがあるかどうかだけで判断して大丈夫です。
残すなら「困っていること」を1行だけ
日報を残すなら、今日やったことの報告をやめて、「困っていること」を1行だけ書いてもらいます。読む側が動くのは、たいていこの1行です。
今日やったことの一覧は、読む側から見るとほとんど動きようがありません。ところが、「〇〇さんからの返事が来ず、見積もりが止まっている」「この作業の手順が分からない」という1行があれば、上司は電話を1本かけたり、手順を教えたりできます。困っていることがない日は「なし」で十分です。
こうすると、書く時間は数分になり、読む側も毎日全部を読む必要がなくなります。「なし」以外の行だけを見ればいいからです。返事をするのも、困っていることが書かれた日だけで足ります。書いた人が「返事が来た」と感じられれば、日報は続きます。
「うちの日報、続けるべきか分からない」ところから、ご相談ください。いまの日報を一緒に見て、残すものとやめるものを分けるところから始めます。
AIに日報を書かせる前に
最近は、作業の記録やチャットの履歴からAIに日報の下書きを作らせる方法も紹介されています。書く手間は確かに減ります。ただ、読む人がいない日報をAIで速く書けるようになっても、意味がないことは変わりません。むしろ、長い日報が毎日きれいに届くようになり、読む側の負担が増えることもあります。AIで書き方を変える前に、まず読む人と使い道を決めるのが先です。
勤怠を日報で付けている会社は、先に別の記録を用意する
始業・終業の時刻を日報に書いてもらい、それで労働時間を管理している会社は、日報をやめる前に労働時間を記録する別の方法を用意します。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、使用者は原則として、自ら現認するか、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として、労働日ごとの始業・終業時刻を確認し記録する必要があるとしています。労働者が自分で時刻を記入するやり方(自己申告制)は、やむを得ない場合の方法で、その場合は別途の措置が要ります。また、出勤簿やタイムカードなど労働時間の記録に関する書類は、労働基準法第109条により保存しなければなりません(東京労働局「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)。
日報に時刻を書くことで勤怠を兼ねているなら、日報をやめた日から労働時間の記録がなくなってしまいます。日報の「仕事の報告」の部分と「勤怠の記録」の部分は、分けて考えます。勤怠の付け方に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に確かめてください。
今日からやること
| # | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 今の日報について「誰が読むか」「読んで何を決めるか」を1行ずつ書き出す | 今日 |
| 2 | 日報に始業・終業の時刻を書かせているかを確かめ、書かせているなら勤怠の記録の方法を別に決める | 今日 |
| 3 | 決めることが書けなかった日報は、やめる日を決めて社員に伝える | 今週 |
| 4 | 残す日報は「困っていること」1行(なければ「なし」)に変える | 今週 |
| 5 | 「なし」以外の行には、その日のうちに返事をする | 毎日 |
| 6 | 1か月後、困りごとが早く見つかるようになったか、書く時間が減ったかを振り返る | 1か月後 |
よくある質問
日報をやめると、社員がさぼるのではないですか。
日報があることで仕事ぶりが分かっていたかを、まず振り返ってください。毎日同じ定型文が届いていたなら、日報はさぼりを防いでいなかったことになります。仕事の進み具合は、日報より案件の一覧や週1回の短い面談のほうが確かめやすいはずです。
新人にも日報は要りませんか。
新人の間は、読んで手伝う人がいるなら役に立ちます。その場合も、今日やったことの一覧より「分からなかったこと」を書いてもらうほうが、教える側は動きやすくなります。一人前になったら終わりにする、と最初に期間を決めておくと、惰性で続くことを防げます。
AIで日報を自動で作れば、意味のある日報になりますか。
書く手間は減りますが、読む人と使い道が決まっていなければ、意味がないことは変わりません。AIを使うなら、その日報で何を決めるかを先に決め、その判断に要る項目だけを出させます。
日報をやめても、法律上の問題はありませんか。
日報そのものを作ることを一般に義務づけた法律はありません。ただし、日報で始業・終業の時刻を記録している場合は、やめる前に労働時間を記録する別の方法を用意する必要があります。業種や会社の状況によって違うので、社会保険労務士などの専門家に確かめてください。
まとめ
日報が意味がないと言われるのは、書く手間に対して、読んで何かを決める人がいないからです。今の日報について「誰が読むか」「読んで何を決めるか」を1行ずつ書き出し、決めることが書けなければやめて構いません。残すなら「困っていること」を1行だけにし、書かれた日にはその日のうちに返事をします。勤怠を日報で付けている会社は、やめる前に別の記録を用意します。
「日報をデジタル化した」「AIで日報を自動化した」は、何も意味しません。毎日の書く時間が減ったか、困りごとが早く見つかるようになったか。それだけが意味を持ちます。
改善の続け方と止めどきは業務改善ができない会社の共通点|「疲れた」が出たら止めどきに、毎日の作業の並べ方は業務棚卸のやり方|全部書き出さないで済ませるに、会議の記録を減らす考え方は議事録が読まれない会社の書き方|残すのは決まったことだけに書きました。
どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。
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