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2026-09-01導入と定着

中小企業でDXが進まない理由|止まるのは3か所

中小企業でDXが進まない理由|止まるのは3か所
この記事の結論

「進まない」の中身は3つに分かれます。やらないと決めた31.5%、必要だと思いながら動けていない29.4%、始めたが手前で止まっている層。

課題の上位は人材と予算ですが、この2つを採用と補助金で読むと打ち手が消えます。

自社がどれで止まっているのかを先に1つ決めてください。

DXという言葉は、もう何年も聞いています。セミナーの案内は届くし、取引先が何かを始めたという話も入ってくる。

それでも自社では、見積書を手で打ち直し、受注表をエクセルで回し、月末に紙を数えています。去年と何も変わっていません。社内では「うちは人がいないから」で話が終わります。

この一言で終わらせると、来年も同じ場所にいます。 止まっている場所は、もっと具体的に指せます。

「DXが進まない」は、3つの別の状態が混ざっている

進んでいない会社をひとまとめにすると、打ち手が出ません。中身は3つに分かれます。

中小企業基盤整備機構が2026年2月6日に公表した中小企業のDX推進に関する調査(2025年)を見ます。2025年12月5日から18日に全国の中小企業者等1,000社へWebアンケートで実施され、製造業500社・非製造業500社という構成です。取組状況は、こうなっていました。

進んでいない6割は、やらないと決めた層と、必要だと思いながら動けていない層に分かれる。
進んでいない6割は、やらないと決めた層と、必要だと思いながら動けていない層に分かれる。
状態割合
既に取り組んでいる18.9%
取組みを検討している20.2%
必要だと思うが取組めていない29.4%
取組む予定はない31.5%

上の2つを足した39.1%が「取り組んでいる、または検討している」層で、前回の2024年調査とほぼ横ばいです。

大事なのは残りのほうです。「進んでいない」に見える6割は、別の2つの集団でできています。

この2つに同じ話をしても届きません。前者に要るのは効果の話、後者に要るのは手順の話です。そして既に取り組んでいる18.9%の中にも、途中で止まっている会社がいます。

止まり方①:やらないと決めた会社は「効果」で止まっている

取組む予定がない企業の理由の1位は、人でも金でもなく「効果が見えない」でした。

同じ調査で、「取組む予定はない」と答えた315社に理由を聞いた結果です(複数回答)。

理由割合
具体的な効果や成果が見えない25.7%
予算が不足している20.6%
自社にDXが必要と思われない18.1%
推進できる人材がいない16.8%
どのように進めればよいのかわからない14.3%

3位の「自社には必要と思われない」18.1%まで含めると、上位は一貫して「やる意味が見えない」という話です。人材の話は、その後に来ます。

ここには単純な循環があります。効果が見えないから始めない。始めないから効果が見えない。 他社の事例では、この輪は切れません。それはその会社の効果であって、自社の効果ではないからです。

切り方は1つです。「効果」の定義を、自社の中で測れるものに置き換える。 売上が何%伸びたか、生産性が何倍になったか——この水準で定義している限り、着手前に見えるはずがありません。見えるのはこちらです。

「DXを導入した」は、何も言っていません。意味を持つのは、何が減ったかだけです。 この3つなら、減るかどうかは着手前でも見当がつきます。転記が1日20分あるなら、なくなれば20分減る。それだけの話です。

最初にやることは、ツールを探すことではありません。減らせる作業が1つでもあるかを確かめることです。無ければ、やらない判断は正しい判断です。

止まり方②:動けない会社は「人と金」で止まっている——ただし読み方を間違えやすい

課題の上位は人材と予算です。ただし、この2つを採用と補助金で読むと打ち手が消えます。

1,000社全体にDXに取組むに当たっての課題を聞いた結果(複数回答)が、これです。

上位は人と予算。「何から始めてよいかわからない」は6番目で13.9%しかない。
上位は人と予算。「何から始めてよいかわからない」は6番目で13.9%しかない。
課題割合
ITに関わる人材が足りない28.3%
予算の確保が難しい26.0%
DX推進に関わる人材が足りない25.6%
具体的な効果や成果が見えない21.4%
企業文化・風土がない14.9%
何から始めてよいかわからない13.9%

上位3つはいずれも前回調査より増えています。ここまでは想像どおりだと思います。注目してほしいのは6位です。

「何から始めてよいかわからない」は13.9%しかありません。

世の中に出ているDXの記事は、ほとんどがここに答えようとしています。手順、ロードマップ、チェックリスト。しかし実際に詰まっているのは、その手前ではなく人と金でした。読み物が足りていないのではありません。

では人と金の話をどう扱うか。ここで多くの会社が2つの読み違えをします。

「IT人材が足りない」を採用の話として読まない

中小企業に情報システム担当を1人採る余地は、たいていありません。 それができるなら、とっくにやっています。この回答を「採用しないと始まらない」と読むと、そこで終わります。実際に要るのは、システムを作れる人ではなく、その業務を一番よく知っている人が、変えていいと言われている状態です。

大きい会社のやり方も持ち込めません。専任のDX推進室を置き、全社の業務を棚卸しし、標準を決めてから展開する。この順番は、専任を置ける規模だから成立します。人が足りない会社が真似ると、棚卸しが終わる前に押し戻されます。

同じ調査で期待する支援策を聞くと、2位は「中小企業のためのDX推進指針の策定・公表」21.0%でした。中小企業向けの型が無いという実感が、そのまま回答に出ています。

「予算が確保できない」を補助金の話として読まない

期待する支援策の1位は「補助金・助成金」で43.9%と、圧倒的です。ただ、予算が出ないのは、何が減るのかを誰も言えていないからでもあります。減るものが1行で言えれば、金額の小さい案件なら決裁は通ります。逆に、それを言えないまま補助金で始めると、補助が切れた時点で続ける理由が無くなります。使う順番が後だという話です。

止まり方③:始めた会社も、大半は変革の手前で止まっている

既に取り組んでいる189社に進捗を聞くと、「変革」の段階にいるのは27.0%だけでした。

既に取り組んでいる企業でも、7割超は変革の手前にいる。
既に取り組んでいる企業でも、7割超は変革の手前にいる。
進捗の段階割合
紙媒体をベースとした業務を行っている7.9%
アナログの作業やデータのデジタル化を進めている(デジタイゼーション)32.3%
個別の業務やプロセスのデジタル化を進めている(デジタライゼーション)32.8%
業務やビジネスモデル、企業文化の変革を進めている(DX)27.0%

この27.0%は、既に取り組んでいる189社の中での割合です。 1,000社全体では18.9%のうちの27.0%ですから、およそ5%になります。

つまり、世間がDXと呼ぶ状態にいる中小企業は、20社に1社ほどです。残りは紙をやめている途中か、1つの業務をデジタルにしている途中です。ここで言いたいのは「もっと進め」ではありません。逆です。

自社がどこで止まっているのか、切り分けだけでもご相談ください 現状を伺うところから始めます。相談と見積りに費用はいただきません。

デジタイゼーションで止まっているのは、失敗ではありません。紙をやめて、転記を1つ減らして、それで業務が軽くなっているなら、十分に成果は出ています。それを「まだDXではない」と呼ぶ言葉のほうが、実態に合っていません。

DXという言葉は、達成できない基準を持ち込みます。ビジネスモデルの変革、企業文化の変革——中規模以上を想定した定義です。この基準で採点すれば、何をやっても不合格です。不合格が続けば、手は止まります。

だから、DXという言葉は捨てて構いません。残すのは「何が減ったか」の1行だけです。地味で結構です。派手な全体最適から手をつけると、続きません。

なお、使われなくなったツールの処遇はツールが定着しない|直すか捨てるかの決め方、生成AIに限った詰まり方はAI導入がうまくいかない原因、最初の90日の区切り方はAI導入の進め方に分けて書いています。

今日からやること

上から順に。30分ほどで終わります。

#やること目安
1自社が「予定はない」「必要だが動けていない」「既に取り組んでいる」のどれかを口に出す1分
2「予定はない」なら、手で打ち直している作業を3つ書き出す。書き出せなければ、やらない判断でよい10分
3「動けていない」なら、その3つのうち一番回数が多いものを1つだけ選ぶ5分
4選んだ作業の担当者に「変えていい」と口頭で伝える3分
5「既に取り組んでいる」なら、この半年で何が減ったかを1行で書く5分
65が書けないなら、進捗ではなく対象の選び方に戻る

この時点でツールを比較しないでください。 止まる場所が決まる前の比較検討では、何も決まりません。

よくある質問

DXと、ただのデジタル化やIT化は何が違うのですか。

調査上は、紙をデジタルにするのがデジタイゼーション、業務プロセスをデジタル化するのがデジタライゼーション、ビジネスモデルや企業文化まで変わるのがDXとされています。ただ、実務でこの区別を気にする必要はありません。 中小企業の実態は、ほとんどが手前の2段階です。呼び方より、何が減ったかで見てください。

人材がいないので、まず採用から始めるべきでしょうか。

その順番はあまり勧めません。採用には時間と固定費がかかり、任せる業務が決まっていなければ入社後も同じ場所で止まります。先に、変える業務を1つ決めてください。 その業務を一番よく知っているのは、たいてい既にいる人です。

何年も「検討している」で止まっています。どうすればいいですか。

検討が長い場合、多くは対象が大きすぎます。基幹システムや部門をまたぐ仕組みを検討していると、決まりません。1人が1日にやっている作業まで下ろしてください。 選び方は業務改善は何から始めるかにまとめています。

社員がデジタルに抵抗があります。

「企業文化・風土がない」は課題の5位で14.9%と、人材や予算より下です。抵抗に見えるものの多くは、変えた後のほうが手間が増える設計になっていることへの反応です。入力する人と楽になる人が違っていないかを、先に確かめてください。

まとめ

DXが進まない理由を「人がいないから」で終わらせると、来年も同じ場所にいます。

1,000社の調査では、取り組んでいる・検討している会社が39.1%、必要だと思いながら動けていない会社が29.4%、やらないと決めている会社が31.5%でした。この3つは別の止まり方で、打ち手も違います。

やらないと決めた会社は効果で止まっています。減らせる作業が1つあるかを確かめてください。動けていない会社は人と金ですが、採用と補助金で読むと打ち手が消えます。既に始めた会社の大半は、変革の手前にいます。

そして、そこで止まっていることは失敗ではありません。DXという言葉を捨てて、「何が減ったか」の1行だけを残してください。 その1行が書けた会社は、呼び方がどうであれ前に進んでいます。

この記事のタグ業務改善はじめ方定着

どこから手をつけるか分からない場合は、ご相談ください。いまのやり方を伺うところから始めます。ご相談とお見積りに費用はいただきません。

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この記事を書いた人
清水 飛鳥株式会社Raven 代表

中小企業と個人事業主の業務を、その会社に合った形で仕組みに変える会社を経営しています。

本記事はAIを用いて作成し、公開前に内容を確認しています。